松坂桃李は若手から慕われる“御上先生”そのもの デビューから追うライターがみた成長
筆者はデビューから松坂を応援し、出演作を観続けてきたが、彼ほどステップアップが眩しい俳優はいないように思う。演技に対して情熱を注ぎ、努力を重ね、作品ごとにどんどん技術が上がっていった。だが、有名な売れっ子俳優になっても、常に謙虚さを忘れず、それでいて優等生という印象ではなくユニークでキュートで、突っ込みどころもあって、それがデビュー時から全く変わらないのだ。結婚して、父親になると、家族に対する想いを隠すことなく、子どもと共に成長している話もインタビューなどで語ってくれている(※1)。誠実という言葉がこれほど似合う人はほかにいるだろうかと、いつも感心してしまう。
そんな松坂は、『御上先生』に主演したことで、自身の生活にも大きな影響があったと語っている。冒頭にも書いたが、本作には社会的なメッセージが込められていると同時に、自分で「考える」ということを伝えている作品だ。御上は生徒に何度も「考えて」と言い、生徒は自分たちで考えることによって、大きく変化していった。松坂自身も考えることの大切さを本作から学んだという(※2)。
『御上先生』を全話通して観て感じたのは、松坂の本作への深い想い入れだ。29人の生徒役1人1人に愛情を注ぎ、主演ではあるが、自分よりも若手キャストたちが輝けるように気を配っている懐の深さが感じられた。第6話や最終話で、生徒たちが御上の話に聞き入る場面では、数人の生徒ごとに分けて撮影が行われ、松坂は集中力と体力を要する長回しのシーンを何度も演じたが、全てのテイクで熱量を落とさずに演じ切ったという。生徒たちの表情を良く撮るために頑張るのが好きだと語る松坂からは、大きな愛が感じられ、御上先生そのものだと思った(※3)。
生徒役の若手キャストから慕われている松坂。松坂の芝居に何度も助けられたという富永役の蒔田彩珠は、かっこよくて尊敬できる人だと語り(※4)、櫻井役の永瀬莉子は、彼の座長としての撮影現場でのフラットな在り方を絶賛している(※5)。生徒役ではないが、真山弓弦を演じた堀田真由は、彼女が10代の頃に『わろてんか』で松坂と共演している。今回、再共演できて感慨深かったと語る堀田は、松坂は昔からすごく周りを気にかけてくれる人だと感じており、ずっと見守ってくれる彼に胸がいっぱいになったそうだ(※6)。
次世代を担う若手俳優から尊敬され慕われていることに、松坂が20歳の時から見てきた筆者は胸が熱くなるが、彼なら当然だと思うし、今後もさらにそういった若手俳優が増えると確信している。これからも松坂の躍進から目が離せないし、さまざまな作品での彼の名演技を観るのが楽しみでたまらない。
参照
※1. https://mdpr.jp/news/detail/4476503
※2. https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21387
※3. https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21421
※4. https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21404
※5. https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21403
※6. https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21377
「日本の教育を変えてやろう」という熱意を持ったエリート文科省官僚が高校教師となり、令和の18歳とともに、日本教育にはびこる権力争いや思惑へ立ち向かうオリジナル学園ドラマ。
■配信情報
日曜劇場『御上先生』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/