宇野維正の映画興行分析
STARTO所属タレント出演作がトップ3を独占 新事務所設立から1年で全盛期の到来?
3月第1週の動員ランキングは、公開4週目の『ファーストキス 1ST KISS』が週末3日間で動員14万2000人、興収2億400万円をあげて、通算2回目のトップに立った。公開から24日間の動員は117万4500人、興収は16億7500万円。2021年の『花束みたいな恋をした』(最終興収38.1億円)、2023年の『怪物』(最終興収21.5億円)に続いて、これで坂元裕二脚本映画の3作連続興収20億円超えがほぼ確実となった。さらに、来月早々には『ファーストキス 1ST KISS』の前に脚本を手がけていた『片思い世界』の公開も控えている。
2位に初登場したのは、三木孝浩監督にとっては『今夜、世界からこの恋が消えても』以来となる久々の恋愛映画にして、中島健人とmiletがメインロールを務めている『知らないカノジョ』。オープニング3日間の動員は11万9000人、興収は1億5800万円。2019年にフランスで製作された『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』のリメイクというあまり前例のない企画ながら、ギャガ配給作品としてはまずまずの滑り出しと言えるだろう。
2週連続1位だった劇場版『トリリオンゲーム』は2ランクダウンして3位に。ちょうど前回の本コラムで、松村北斗出演の『ファーストキス 1ST KISS』と目黒蓮出演の劇場版『トリリオンゲーム』の1、2フィニッシュを受けて「新事務所設立から1年強で少なくとも映画界においては完全復活を遂げた」と書いたばかりだが、なんと先週末はSTARTO ENTERTAINMENTに所属するグループのタレントがメインロールを務めた作品がトップ3を独占した。
さらに、公開8週目にして6位をキープ、先週末の時点で興収22億8100万円まで到達している『366日』でも、「助演」ポジションとはいえ中島裕翔が物語上で重要な役を好演。公開10週目の木村拓哉主演『グランメゾン・パリ』は興収40億超え達成。もはや「完全復活」どころか、旧ジャニーズ時代を振り返っても、現在の役者陣の分厚さと集客力は「新たな全盛期」の到来と言ってもいいほどだ。
■公開情報
『知らないカノジョ』
全国公開中
出演:中島健人、milet、桐谷健太、中村ゆりか、八嶋智人、円井わん、眞島秀和、風吹ジュン
監督:三木孝浩
原作:『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』
配給:ギャガ
©2025『知らないカノジョ』製作委員会
公式サイト:gaga.ne.jp/shiranaikanojo
『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/