ニコラス・ケイジの新たなネットミーム誕生か 狂気が光る『シンパシー・フォー・ザ・デビル』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替わりでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、ゴールド免許持ちの小野瀬が、ニコラス・ケイジが主演と製作を務めたアクションスリラー映画『シンパシー・フォー・ザ・デビル』をご紹介します。

『シンパシー・フォー・ザ・デビル』

 “恐怖”とはなにか。私は、“未知のもの”や“自分の常識や尺度では測れない”もの、つまり“なんだかよくわからないもの”だと思っている。予期せぬ動きで襲いかかってくる死にかけの蝉が怖い。人智を超えた脅威をみせつけ、日常を一瞬で未知の世界に塗り替えてしまう自然現象が怖い。その中でも、最も身近な恐怖が、“よくわからない人”ではないだろうか。

 夜道で自分の後を歩いてくる人が怖い。自宅のインターホンを押してきた見知らぬ人が怖い。駅前で「今ちょっとお時間よろしいですか?」と声をかけてくる人が怖い。彼ら・彼女らに悪意がまったくなかったとしても、だ。これは、「未知のもの=自分に危害を加える可能性のある潜在的な脅威」とみなす人間の本能なのだろう。だから人と人は対話を行って、互いを知ることが必要だ。

 だからこそ、まともに会話が通じない奴が本当に怖い。

 本作は一言でいうと「頭のおかしいニコラス・ケイジがいきなり車に乗り込んできた」という話。ある夜、デイビッド(ジョエル・キナマン)は妻の出産に立ち会うため、ラスベガス中心部の病院へ車を走らせていた。ところが病院の駐車場で、いきなりガラの悪い謎の男(ニコラス・ケイジ)が後部座席に乗り込んでくる。拳銃を突きつけられて「車を出せ」と言われ、やむなく指示に従うデイビッド。ハイウェイを走行中にあの手この手の脱出策を試みるが、非情で狡猾なその男にことごとく阻まれてしまう。支離滅裂な言動を連発する男は、なぜデイビッドに異常な悪意を向けるのか。ただ気が狂っているだけなのか。それとも何か狙いがあるのか。男の暴走は次第にエスカレートし、さらなる大惨事を巻き起こすのだった。

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