『秘密』『約ネバ』『ブルーピリオド』 板垣李光人ד漫画原作モノ”が生む説得力
『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)は、死者の生前記憶を映像で再現するMRI技術を使い、未解決事件の真相を追う架空の組織「法医第九研究室(通称、第九)」を舞台にしたヒューマンサスペンス。原作は、白泉社の漫画雑誌『MELODY』で1999年から2012年まで連載された清水玲子による不朽の名作で、2016年には生田斗真と岡田将生で実写映画化された。グロテスクさもありながら、耽美な世界観が人々を魅了している。
そんな本作で第九を率いる若き室長・薪剛を演じるのが、板垣李光人だ。画面上で艶やかに動く姿を見て、「薪剛が実在した!」と思わずテンションが上がったのは筆者だけではあるまい。
近年、ドラマや映画で大活躍しており、CMサイト社が発表した全国の男女6,765人が選ぶ「2025年さらにブレイクしそうな若手俳優ランキング」(※)でも堂々の1位に選ばれた板垣。脚光を浴びるきっかけは『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日系)で悪役のウールを演じ、視聴者の間で“美しすぎる少年”として話題になったこと。実写映画『約束のネバーランド』ではメインキャラクターの1人で、白髪と青い瞳が特徴的なノーマンのビジュアルを見事に再現し、原作ファンから絶賛され、『カラフラブル』(読売テレビ・日本テレビ系)では性別にとらわれず、メイクやファッションを楽しむ“ジェンダーレス男子”を好演した。
今回演じる薪も漫画を見ると分かるように、線の細い美少年だ。なおかつ頭脳明晰で冷静沈着、類まれな記憶力と鋭い洞察力を持つ天才。そんなある種、ファンタジーとも言える存在を中性的な魅力を持つ板垣が現実のものとしている。身のこなしや立ち振る舞いもしなやかで美しく、思わずため息が出そうになることもしばしば。凶悪犯の脳を見ながら、ただひとり正気を保ち続ける強靭な精神と、今にも消えそうな儚い雰囲気。この相反する2つの要素を体現できる役者もなかなかいないであろう。