『秘密』門脇麦が過去を知る監察医役で本格登場 未来を予見していた原作の先見性
『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)第4話は、門脇麦演じる三好雪子の登場回だった(※本記事はドラマ本編の内容に触れています)。
私鉄沿線で起きた連続殺人事件。被害者は同時刻に同じ車両に乗り合わせていたことが判明する。その電車にはもう1人犠牲者がいた。先立つこと1週間前、薬剤師の里中恭子(中村ゆりか)が車内で暴漢に刺されて死亡。しかし、数日たっても目撃者は現れなかった。被害者のMRI映像から、里中が殺された日に車内でトラブルがあったことがわかるが、誰が犯人がわからない。さらに別の人物も現れ、事件の行方は混沌としてきた。
手がかりは同じ電車に乗り合わせたことだけ。けれども、青木(中島裕翔)はある異常に気づく。被害者の視線は指先に向かっており、爪の様子を気にしていたというのだ。犯人の一人も同じだった。そこから新型の感染症が疑われる。カプセルホテルで見つかった遺体は全身に出血斑があった。感染者は爪の変色が症状として見られるが、死亡すると消えることがわかった。
心の闇に斬り込む本作で、ひと続きの第4・5話はミステリー要素の強いエピソードである。原作コミックス(清水玲子『秘密-トップ・シークレット-』)の第4巻に収録されているが、コロナ禍を経て振り返ると未来を予見していたように見える。新型コロナ感染症のピーク時には、感染を抑えるために行動制限が課せられ、通勤時間帯の電車が閑散としていたことは記憶に新しい。
また、電車を舞台にしたミステリーやサスペンスはいくつも名作がある。密室トリックであり、時々刻々状況が変わる設定が手に汗握る展開を生んできた。偶然居合わせた人々の間で起きる凶行は、犯人の意図を見えにくくする効果がある。それらに加えて、密室が有害物質やウイルスの拡散装置となることを、幸か不幸か私たちは知っている。見ず知らずの乗客を狙った殺傷事件もあった。原作の連載時にそれらを描いたことは先見性があった。