“朝ドラ常連”辻凪子、『おむすび』でなぜ“協調性ゼロの変人”役? 制作陣の狙いを読み解く

 放送中の朝ドラ『おむすび』(NHK総合)が「病院・管理栄養士編」へと入ってからというもの、これまで以上に楽しくなってきた。その最たる理由は、本作の世界観の中に辻凪子の存在があるからだ。彼女が朝ドラに出演するのはこれで8度目。演技者としての辻のポテンシャルの高さを知っている者からすれば、彼女ほど頼もしい存在はいないというもの。本作ではどのような功績を残すことになるのだろうか。

 本作は、平成元年生まれのヒロイン・米田結(橋本環奈)が、自分らしさを貫く“ギャルマインド”を持つ栄養士として、「食」をとおして人々と未来を結んでいく青春物語を描くものだ。気がつけば時代は平成30年。令和7年を生きている身からすれば、ほんの数年前のことのように感じる。やがて時代は令和となり、結たちの元にはコロナ禍がやってくるはずだ。この世界的な事象まで描こうというのなら、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災を描いてきた本作なのだから、これから暗い展開になっていくのかもしれない。現在の結は管理栄養士として新淀川記念病院で働いているものとあって、コロナ禍は物語に深く関わってくるはずである。

 そんな不穏な予感がする中、いや、そんな予感がするからこそなのか、いまの『おむすび』の世界は明るく希望に満ちているように感じる。結を囲む職場の人々の顔ぶれも変わり、愉快な展開が続いているのだ。

 辻が演じている篠宮朱里は、結が所属する「NST(栄養サポートチーム)」のメンバーのひとりで薬剤師だ。番組公式サイトの人物紹介欄には「協調性ゼロ」と記されているものの、ただ純粋に生真面目な性格の持ち主なのだということが明らかになってきた。何を考えているのか分からないところのある風変わりな人物ではあるが、彼女の言動に触れていると、好感を抱かずにはいられない。演じているのが辻だからなのだろう。

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