フジテレビ記者会見、“大荒れとなったポイント”を解説 社員の関与とプライバシー問題

社員の関与とプライバシー問題について

 日枝の問題に加えて、社員Aの関与についても広く追求がなされた。

 社員Aが当該女性を中居へ「上納」していたと報じられているが、フジテレビは社員や中居への聞き取り、通信履歴を調査したうえで「一切関与していない」と断定した。これについての根拠を問われると、港は「当該日(トラブルが実際にあった日)に関しての履歴、ヒアリング、これは確かに女性側のヒアリングが欠けているところはあるかもしれませんが、当該社員と中居氏のヒアリングと履歴を精査した結果、これは関与していないと信じるに足ると思っています」と回答。会見では様々な角度でこの認識について問われたが、当該日において社員の関与は一切なかったとの姿勢を崩さなかった。

(左から)遠藤龍之介、港浩一、嘉納修治、金光修

 また、港は中居が女性に不同意性交罪にあたる行為をしたのかと問われると、「正直その時はそういう認識は持たなかったです」と語った。

 本会見では上記のようにトラブルの事実を掘り下げていく質問も想定されたため、フジテレビは会見を10分遅延させて配信することを条件とし、質疑応答でも女性の実名や特定できる情報を出さないことをルールとしていた。一方で、今回一番の焦点が集まっていた「社員の関与があったかどうか」を追求するにあたって、何度も「女性のプライバシー保護の観点で……」と静止されるシーンがあり、記者からは「質問ができないじゃないか」と怒号が飛び交った。

 記者からは「“女性のプライバシー保護”を隠れ蓑としている」という批判も相次いだが、港からは「そういうことではない」とした上で、やはりプライバシー保護の観点で「回答を控える」と述べる場面が何度もあった。

「やり直し記者会見」の目的は何だったか?

 上記のようにして、本会見で質問されたほとんどの内容については「3月に終了を予定している第三者委員会の結果を待つ」という回答が多数を占めた。フジテレビの経営陣は質問に対して言い淀む場面も少なからずあったが、大枠は「今話せる事実を話す」ことに終始していた印象だ。反対に言えば、女性のプライバシーの観点と調査を控えていることを踏まえると、「現時点で話せることは極めて限定的である」状況だったことは推察できた。

 この状況において、会場に訪れた記者を全て受け入れ、質問を無制限(1回につき2問まで、未質問媒体を優先)に受け付けるとしたルールで運用すると、10時間を超える大荒れの会見となることもあるいは予想できたのかもしれない。この記者会見の目的はそもそもどこにあったのか、それを問うことも含めて、記者が試された会見だったとも言えるのではないだろうか。

フジテレビジョン執行役員広報局長・上野陽一

 何はともあれ、具体的な結論は第三者委員会の調査の結果を待つこととなる。また、遠藤は検証番組についても「(第三者委員会が終わった後)メディアとしてやらなくてはならない」と述べている。今後どのような事実説明と改善策・対応策が示されるのか、あらゆる関係者にとって納得できる釈明が待ち望まれる。

 本会見では他にも番組制作やスポンサー、パートナー企業への対応方針も問われたが、誠実に向き合うことを前提に「個別に対応が必要で、現段階では具体的には答えられない」という回答が相次いだ。

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