『アンサンブル』松村北斗の真摯なアプローチ 第2話にして見えた想像とは違う方向性

 第1話で描かれた時点では異なる事務所の弁護士だった瀬奈(川口春奈)と真戸原(松村北斗)。しかし前回の一件で在籍していた事務所をクビになった真戸原は、実家の居酒屋の古くからの常連であり真戸原自身が弁護士を目指すきっかけになった人物である小鳥遊(板谷由夏)の事務所で働くことになる。すなわちその事務所――たかなし法律事務所は瀬奈の働く事務所であり、今後2人は同僚として同じ案件に向き合うことになるというわけだ。

 1月25日に放送された『アンサンブル』(日本テレビ系)は第2話。真戸原の所属先も含め、なんとなく想像していたものとは違う方向へとドラマが進みつつあるようだ。もちろん瀬奈と真戸原の“ラブストーリー”という部分に関しては想定通りの進捗ではあるのだが、“リーガル”部分は前回以上にあっさりさっぱり。クライアントに自分自身の過去をほんのり重ねてしまう瀬奈に真戸原が言うように、あくまでも「過ごしてきた時間は無駄じゃない」という、半ば瀬奈を惑わせてしまう言葉が見出されるためだけにクライアントの不倫トラブルが機能する。

 もっとも、瀬奈を惑わせるのはそうした言葉よりも元恋人である宇井(田中圭)のせいと言った方が適切かもしれない。前回のラストの踏切に今回は大学の図書館と、やたら神出鬼没な宇井。大学時代の恩師にたまたま声をかけられ、懐かしい映像を2人で見ることになるという地獄のようなシチュエーションの果てに、8年も経っていまさら「説明したい」と言いだす宇井。何もわからないままトラウマとなった過去にロジカルに向き合うきっかけと捉えられなくもないが、まったくもって瀬奈はこんな男に振り回されるべきではないのだが。

 宇井の誘いに乗り、母親・祥子(瀬戸朝香)と毎年恒例にしていた祥子の誕生日の食事を断る瀬奈。しかしいざ宇井と会ったレストランで、彼に家族がいることを知ってしまう。そのまま店を出る瀬奈は、降りしきる雨のなかを寒さに震えながら歩く。そこに颯爽と駆けつけてマフラーを巻く真戸原。大学の図書館であった際に宇井と名刺交換をした真戸原は、彼が瀬奈の元恋人であると察し、宇井の名前をネットで検索。彼に娘がいることを知り、瀬奈が傷付くと思ってやってきたわけだ。

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