『その電話が鳴るとき』はユ・ヨンソクの代表作確定 スリリングで甘美なロマンスにハマる

 Netflixで配信中の『その電話が鳴るとき』が世界52カ国でNetflixランキングトップ10入りを果たし、話題沸騰中だ。本作は、ロマンスとスリラーのミックスジャンル作品で、緊迫感のあるストーリー展開と切ない恋心を演じる主演のユ・ヨンソクとチェ・スビンが、共に新たな顔を見せて視聴者を熱狂させている。本稿では第3話、第4話を中心にご紹介したい。(以下、ネタバレあり)

 ユ・ヨンソク演じるペク・サオンは、家柄・容姿・能力を併せ持つ完全無欠な男として、国民から注目され愛されるやり手の大統領報道官だ。サオンには、政略結婚3年目のチェ・スビン演じるホン・ヒジュという緘黙症で手話通訳士の妻がいるが、世間にはサオンの妻だとは公開しない秘密の結婚生活を送っている。ふたりは、仮面夫婦として愛のない結婚生活を送っているが、1本の脅迫電話により互いの知らない顔を知ることになっていく。

 ヒジュは、自分を誘拐した男が落とした音声エフェクト付きの電話で、サオンを脅迫し始める。ヒジュは、自分を愛さないサオンとの離婚を望み、拉致犯のフリをしてサオンにヒジュとの離婚を要求するが、電話の最中に爆破音とともに電話が突然切断されてしまう。犯人を手玉に取るサオンの挑発と、追い詰められサオンの術中に嵌っていくヒジュの対比が緊迫感をそそり、スリリングさを加速させている。

 サオンのオフィスに仕掛けられた爆発物によって、サオンは意識を失い病院に運ばれる。目覚めたサオンは、すぐにヒジュの安否を確認し、ヒジュの無事を知り安堵する。負傷したサオンは自宅に戻り、拉致犯の手がかりを求めヒジュを追及する。

 ヒジュが自分の太腿を撮影した写真をサオンに送り付けたことで、サオンはヒジュと拉致犯の関係を、ヒジュによる不倫かと疑心暗鬼になっていたのだった。サオンは、ヒジュの太腿にあるというホクロを確認しようとするも、真実を知ることを恐れて躊躇する。

 ヒジュの携帯電話をチェックしたサオンは、ヒジュが大学の先輩サンウ(ホ・ナムジュン)と食事に行くことを知り、ふたりが食事するレストランに後輩アナウンサーのユリ(チャン・ギュリ)と一緒に現れる。サオンは、ヒジュとサンウの仲睦まじい様子に嫉妬をし、ヒジュに「急に疑問が湧いた。私の知っている君が全てだと思っていたけど違うのかもしれない」と言い捨て去っていく。

 ヒジュは、職場で“大統領室手話通訳士”の試験を受けることを提案される。その帰りにヒジュの乗った車は、拉致犯に再びハッキングされてしまい、ヒジュは拉致犯からサオンに電話をかけ続けるように脅迫されてしまう。

 その夜、ヒジュはサオンに拉致犯を装い電話をかけ、「どうせ愛のない結婚だ」「いっそのこと捨ててしまえよ」と脅迫する。しかし、サオンは、「誘拐や脅迫に爆弾テロまでやらかすヤツにヒジュを渡すとでも?」「彼女を手放す気はこれっぽっちもない」と告げる。サオンの言葉を訝しむヒジュが質問しようとするも、サオンは「ヒジュを待たせているので」と電話を切ってしまう。

 ヒジュの元に戻ったサオンは、ヒジュに「絶対に離婚はしないからな」「スキャンダルや噂で名前を汚されるのは御免だ」とヒジュを傷つける。そうかと思えば、ヒジュのベッドに入って、「拉致された日のことは悪夢を見たと思え、あの時の言葉も……全部忘れろ」とヒジュを慰めたりと、ツンデレを通り越す拗らせぶりを見せる。

 一方、ヒジュの子供の頃が明かされ、母親ヨニ(オ・ヒョンギョン)のガスライティング(心理的虐待)によって、声を出せないフリをさせられていることがわかった。彼女のあまりにも過酷で不憫な境遇が痛ましい。姉イナ(ハン・ジェイ)の代わりに結婚させられたと思っているヒジュが、サオンの本心に気付く時が待ち遠しい。

 そんなある日、ヒジュの認知症の父ジンチョル(パク・ウォンサン)が拉致犯に病院から連れ出されたことにより、ヒジュはパニックに陥り、駆け付けたパトカーの中で大声を出してしまう。サオンによって、ジンチョルは安全な病院に転院させられ、ヒジュはサオンの優しい一面を知る。

 本作は、“あり得ないこと”の連続と(家で撮った写真を送るヒジュと、それに気づかないサオン!)、サオンのツンデレを通り越した、好きな子を苛める子供のような拗らせぶりに、ヒロインであるヒジュの辛く惨めな境遇が、少女マンガやハーレクイン小説のようで魅了されてしまう。

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