『嘘解きレトリック』松本穂香の新たな魅力に目を奪われる 物語を彩る野村康太の演技も

『嘘解きレトリック』松本穂香の新たな魅力

 神代は依里の遺した子どもを探すため新聞広告を出す。すると、依里の息子を名乗る徳田史郎(濱尾ノリタカ)と本条皐月(野村康太)が現れた。今回の依頼は、この2人のうち“本物の孫”を見極めることだったのだ。

 千代が用意した優美な洋装に身を包んだ鹿乃子の姿は、このエピソードの見どころのひとつと言える。普段和装から一転、メガネと調和した大正モダンの雰囲気を纏った彼女の新たな魅力に、思わず目を奪われる。孫を名乗る史郎と皐月を交えた食事の席では、真実と虚偽が絡み合う会話が展開される。鹿乃子は史郎の言葉に偽りを感じ取るものの、それを証明する方法に思い悩むことに。

 しかし、決定的な手がかりは亡き依里が子どもの着物に縫い付けた背守りの模様にあった。皐月の主張する「サツキの花」、実原夫人の描いた図……すべての点が次第に繋がっていく。

 特に印象的なのは、皐月の自然体で謙虚な振る舞いだ。弁当を3つも平らげる健啖ぶりや、素直で温かみのある表情、飾らない物腰の数々。デビューから2年で地上波ドラマ初主演を果たした野村康太の丁寧な演技が、この好青年の魅力を存分に引き出している。はにかむような笑顔や、ラストの久に対する誠実な態度には説得力があり、見る者の心を捉えて離さない。

 2022年のデビュー以来、『silent』(フジテレビ系)『差出人は、誰ですか?』(TBS系)と立て続けに話題作への出演を重ねてきた野村。『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系)での好演を経て、『その着せ替え人形は恋をする』(MBS・TBS)では早くもダブル主演に抜擢されるなど、着実にキャリアを重ねてきた実力派だ。羽島手の月9ドラマ出演となった今回の皐月役でも、その期待に違わぬ演技で物語を彩った。

 そして次回予告には、鹿乃子の知らないところで九十九夜町を訪れる母・フミの姿が。特別な力を持つがゆえに周囲から疎まれ、苦悩の日々を送ってきた鹿乃子。すれ違い続けてきた母娘の心の行方に、新たな展開が待ち受けているようだ。

■放送情報
『嘘解きレトリック』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:鈴鹿央士、松本穂香、味方良介、片山友希、大倉孝二、磯山さやか、今野浩喜、村川絵梨、櫻井淳子、杉本哲太、若村麻由美ほか
原作:都戸利津『嘘解きレトリック』(白泉社・花とゆめコミックス)
脚本:武石栞、村田こけし、大口幸子
演出:西谷弘、永山耕三、鈴木雅之
プロデュース:鈴木吉弘、狩野雄太
制作協力:AOI Pro.
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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