『おむすび』恋愛パートに突入? 近年の朝ドラの告白にいたるシーンを振り返る

 NHK連続テレビ小説『おむすび』で、ヒロイン・結(橋本環奈)は、姉・歩(仲里依紗)と本心を語り合い、仲直りすることができた。そして、両親・聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)に、ギャルも書道もやりたい、ほかにもやりたいことが出てきたら全部やりたいと、素直な気持ちを打ち明けた結。ようやく、心に蓋をしたりせずに、明るい顔で楽しく高校生活が送れそうだ。

 第7週の予告を観ると、元気な結の様子が映し出されている。さらに、週タイトルはズバリ「おむすび、恋をする」なので、恋愛パートに突入するようだ。結の恋の相手は予想通り、栃木から福岡に野球留学中の高校球児・四ツ木翔也(佐野勇斗)になる模様。名前の「四」と、試合の際にメガネをかけていることから、「福西のヨン様」と呼ばれている翔也と、結の恋はどのように始まるのか?

 近年の朝ドラでも、恋が始まるきっかけとなる、“告白的シチュエーション”がたびたび描かれてきた。“告白的シチュエーション”とは、勇気を出して準備した、しっかりとした告白以前に、相手をキュンとさせるような、思いがけないワンシーンだ。そんなシーンの中で、特に印象的だったものをいくつか振り返ってみたい。

『虎に翼』仲野太賀「全てが正しい人間はいないから」 寅子が初めて優三に抱いた恋心

裁判に勝訴したものの、両国満智(岡本玲)が嘘をついていたことが明らかとなり、落ち込む日々を過ごしていた寅子(伊藤沙莉)。そんな寅…

 直近の『虎に翼』(2024年度前期)では、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)が、弁護士として社会的な信用を得るために、恋愛関係ではなかった優三(仲野太賀)と結婚。ところが、優三は昔から寅子に片想いしており、結婚初夜に並べた布団に寝そべりながら、「まぁ、僕はずっと好きだったんだけどね、寅ちゃんが」と本音を明かし、すぐに寝てしまった。あまりにもサラッと口にした、優三の本音は、寅子をドギマギさせることに。これをきっかけに、寅子は優三に恋をし始めるのだった。

 『らんまん』(2023年度前期)で、特に好きだったのは、主人公の万太郎(神木隆之介)が、寿恵子(浜辺美波)に見とれて木から落ちたシーン。竹雄(志尊淳)と一緒に、高知から東京の博覧会にやって来た万太郎は、峰屋の当主として酒の品評会に参加するが、下戸なのに無理をして酒を飲んだため、酔っ払って、つい木に登ってしまった。そんな万太郎を見つけて心配し、「危ないです。降りてください。枝が折れるでしょ?」と声をかけた寿恵子の美しさに、目も心も奪われた万太郎。木から落ちて、恋にも落ちるというシチュエーションで、寿恵子にも強い印象を残し、後に無事に恋を実らせた万太郎だった。

『カムカムエヴリバディ』第8話は異例の構成 完璧だった「アルデバラン」のタイミング

「何で泣いてるん?」  大阪から岡山までの下り列車。すすり泣く安子(上白石萌音)の前に現れたのは、大阪で別れたはずの稔(松村北…

 『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)で、ヒロイン・安子(上白石萌音)と一緒に、視聴者の心も鷲掴みにしたのは、稔(松村北斗)が「何で泣いてるん?」と、安子に優しく声を掛けた瞬間だ。この2人の場合は、すでに両想いではあったのだが、それぞれの家庭の事情で、安子は稔とは一緒にはなれないと落ち込み、身を引こうとしていた。でも、稔は諦めずに安子を追いかけ、汽車の中で泣いている彼女に何があったのかと尋ねたのだ。このシーンは、朝ドラ屈指の“告白的シチュエーション”と言えるだろう。

関連記事