『放課後カルテ』松下洸平が“学校医”から“保健室の先生”に 牧野がノックした羽菜の心の扉
大人からすれば、問題に見える行動も、実は一希にとっては自分の心を守るための処世術なのだろう。それができなくて不平不満を他人への攻撃に変えてしまう人も多い中で、自分で発散して解消できる一希は大人だ。そんな一希に外へ連れ出してもらった羽菜は、そこで見た、雨に濡れてキラキラと輝く苔に胸が踊る。その感性を理解できない一希と「わっかんないかなあ」「わかんね〜」と笑い合う表情もまた、苔に負けないくらいキラキラと輝いていた。
その後、足を挫いてしまった羽菜をおぶって救護室に連れて帰った牧野は彼女の足に自傷行為の跡を見つける。必死で傷を隠そうとする羽菜の手をよけ、何も言わずに包帯を巻く牧野。彼がやったのは、まさに“手当て”だ。誰にも見られたくない傷を、知られたくない心の内を、牧野は無理やり表に晒そうとしない。本人が知られたくないのであれば、包帯のようにくるんで見えないようにしてくれる。その無骨だけど、あたたかい優しさが児童たちの心を救ってきた。羽菜もその優しさに触れ、自身の破壊衝動を打ち明けた上で「私は……“私”が怖い」と明かす。
だけど、牧野は自分の仕事はあくまでも児童の病気や怪我を診ることで、心の問題と向き合うのは担任である篠谷の仕事だと一線を引こうとしていた。もしかしたら、牧野は小児科医だった頃の出来事から他人の心に触れることを恐れているのかもしれない。一方で、篠谷は児童が牧野に心を開いている姿を見て、悔しさを覚えながらも覚悟を決めて羽菜を彼に託そうとする。話が平行線を辿る中、2人に気づきを与えてくれたのは「そっちは俺たちの何を知ってんの」という一希の言葉だった。それをきっかけに牧野は自分のスタンスを曲げ、羽菜のもとに走る。大人はどうしても大人だけで問題を解決しようとしがちだ。だけど、そのせいで当事者である子どもの気持ちを置き去りにしてしまい、迷っている間に最悪の事態に陥ってしまうことがある。羽菜も誰かを傷つけたくないという気持ちから破壊衝動が再び自分に向かい、その最悪の一歩手前にいた。
そんな羽菜に向き合おうとする牧野。2人が挟む家のドアは、家を出て行った母・茜(島袋寛子)のように、どうせみんな最後は自分を嫌になって突き放すのだと羽菜が閉じてしまった心の扉を表していた。その扉を牧野はノックし、「お前がどんな人間で、何があって、何考えてんのか。聞かせてくれないか? お前の言葉で」と語りかける。牧野の心からの救いたいという気持ちは羽菜の心の扉を開くことはできるのだろうか。
■放送情報
土ドラ9『放課後カルテ』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:松下洸平、森川葵、ホラン千秋、平岡祐太、高野洸、六角慎司
原作:日生マユ『放課後カルテ』(講談社『BE・LOVE』所載)
脚本:ひかわかよ
演出:鈴木勇馬ほか
音楽:得田真裕
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:岩崎秀紀、秋元孝之、大護彰子
協力プロデューサー:大平太
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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