原作ものドラマにあって然るべき脚色とは 『放課後カルテ』原作からの変更にみる“誠実さ”

 連載が終わっているとはいえ、原作全16巻すべてのエピソードをそのまま映像化していくことは難しい。しかし、この作品には伝えるべきテーマと描くべきエピソードがある。だからこそ、一つのテーマを示すためにエピソードを選択し、それぞれを繋ぐ脚色を行っているのだ。結果的に、第2話はそのまま保健体育の授業で教材として使えるのではと思うほど、意義深いエピソードに仕上がった。この作品を通して伝えるべきことに真摯に向き合った結果と言えるだろう。

 原作がある作品の映像化にはさまざまな意見がある。『放課後カルテ』も原作のAED使用回にあった児童のエピソードを描かずに、冴島啓(岡本望来)のエピソードにくっつけたことに不満を覚える原作ファンもいるかもしれない。それでも、2つのエピソードを繋げて構成し直したことで、“命の大切さ”という本作の大事なテーマが浮かび上がったのも事実だ。映像化において何を描き、何を描かないかという取捨選択を避けられないなかで、原作の“スピリット”を守るためにできることに向き合う覚悟が感じられる。

 第2話は『放課後カルテ』が描きたいものが詰まった名刺のような回だった。原作の魂を受け取り、ドラマだからできる見せ方に落とし込んだ成果が、啓がAEDを使う10分間のシーンに詰まっている。『放課後カルテ』の脚本や演出には、原作が持つ“命や健康の尊さ”というテーマを、ドラマを通して伝えようという強い意志が宿っているのだ。

■放送情報
土ドラ9『放課後カルテ』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:松下洸平、森川葵、ホラン千秋、平岡祐太、高野洸、六角慎司
原作:日生マユ『放課後カルテ』(講談社『BE・LOVE』所載)
脚本:ひかわかよ
演出:鈴木勇馬ほか
音楽:得田真裕
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:岩崎秀紀、秋元孝之、大護彰子
協力プロデューサー:大平太
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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