津田健次郎が操る低音ボイスの特性 アニメ『チ。』で際立つ“冷酷さ”がたまらない

『呪術廻戦』虎杖悠仁にとって“大人”であり続けた七海建人 その存在の意味深さを考える

渋谷の街も、虎杖悠仁の心も、もうめちゃくちゃだ。アニメ『呪術廻戦』第41話「霹靂-弐-」では、伏黒恵が召喚した式神・魔虚羅と宿儺…

 『チ。』ではおそろしい異端審問官を演じる津田だが、他に出演している作品では人間味を感じるキャラクターも数多く演じている。『呪術廻戦』では呪術師・七海建人役を担当し、主人公・虎杖悠仁をサポートする大人の頼もしさを見せた。いつも冷静沈着でクールな表情をしているため一見こわそうだが、実はとても人情深い性格の七海。

 虎杖から“ナナミン”という愛称で呼ばれている七海は、“ツダケン”と呼ばれ愛されている津田とも通ずる。七海の大人な雰囲気と津田の深く渋い声がベストマッチしているのも、アニメ化によって七海のキャラクター人気をさらに引き上げた理由だろう。

映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』CM

 また、映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』では、ケナガマンモスの造形作家・ウーリーの声を担当。一つひとつの言葉をゆっくりと話すウーリーからは、大きな体をしたマンモスのずっしりとした包容力を感じる。加えて言葉の端々からにじみ出ているのは、ウーリーのあたたかい感情だ。

 ケーキをプレゼントされたウーリーが乗っているお菓子を見て「それは妻と……僕だね」と声を震わせるシーンは、こちらの心も揺さぶられてついもらい泣きしてしまう。津田のお芝居の絶妙なニュアンスが、キャラクターに情感を持たせているのだ。『北極百貨店のコンシェルジュさん』がじんわりと胸が満たされる作品に仕上がっているのも、こういった声の演技の影響が大きい。

 津田は持ち前の低音ボイスを自由自在に操り、時にはやさしさを、時には冷酷さを……というふうに巧みに演じ分けている。不安なときに低い声を聞いてほっとしたり、低い声で怒られて恐怖を感じたりした経験のある人は少なくないだろう。低音ボイスのメリットもデメリットも役に合わせて使いこなす津田は、まさしく“低音ボイスマスター”といっても過言ではない。

■放送情報
TVアニメ『チ。―地球の運動について―』
NHK総合にて、毎週土曜23:45~放送
Netflix、ABEMAにて、各話放送終了後配信
キャスト:坂本真綾(ラファウ役)、津田健次郎(ノヴァク役)、速水奨(フベルト役)、小西克幸(オクジー役)、中村悠一(バデーニ役)、仁見紗綾(ヨレンタ役)
原作:魚豊『チ。 -地球の運動について-』(小学館『ビッグスピリッツコミックス』刊)
監督:清水健一
シリーズ構成:入江信吾
キャラクターデザイン:筱雅律
音楽:牛尾憲輔
音響監督:小泉紀介
オープニング曲・主題歌:サカナクション「怪獣」
エンディング曲:ヨルシカ「アポリア」
アニメーション制作:マッドハウス
©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会
公式サイト:anime-chi.jp
公式X(旧Twitter):@chikyu_chi

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