『葬送のフリーレン』ヒンメルが遺した記憶を振り返る “くだらない魔法”がつないだ絆

“くだらない魔法”がつないだ絆

『葬送のフリーレン』第27話「人間の時代」次回予告/3月15日(金)よる11時放送]

 なぜヒンメルは、フリーレンに強く惹かれていたのか。その想いの源流が明かされたのは、2人が初めて出会った日のことを描いた第27話の回想シーンだ。

 ヒンメルは幼い頃に森で迷った際、偶然フリーレンと出くわし、人里の方向を教えてもらったことがあった。その時、フリーレンは彼の不安を拭うために、「花畑を出す魔法」を使ってくれたという。ヒンメルはこのとき「生まれて初めて、魔法が綺麗だと思った」らしく、後に魔王討伐のため魔法使いが必要になった際、フリーレンに声をかけたのだった。

 他方で今のフリーレンにとっても、「花畑を出す魔法」はとても大切な魔法となっている。同じく第27話では、ゼーリエから好きな魔法を尋ねられた際に、フランメが教えてくれた「花畑を出す魔法」だと返答。それを「実にくだらない」と吐き捨てるゼーリエに対して、彼女は「ヒンメルたちに出会わせてくれたのは、先生が教えてくれた“くだらない魔法”だよ」と返す。この魔法は、2人をつなぐ絆の象徴のような存在になっているのではないだろうか。

ヒンメルから受け継いだ言葉の数々

 作中ではほかにもさまざまなシーンで、ヒンメルがフリーレンに与えた影響が描かれてきた。

 たとえば第13話で、僧侶のザインを仲間に誘った時のことだ。ザインはかつて親友から「一緒に冒険者にならないか」と誘われたが、二の足を踏んでしまい、今でもそのことを後悔している。しかしすでに10年という長い時間が経っているため、「今さらだ」として冒険者になる夢を諦めかけていた。

 そんな彼に対して、フリーレンは「なんで今さらって思っているでしょ。私は今の話をしてるんだよ、ザイン」と背中を押してみせるのだが、この言葉は元々自身がヒンメルから言われたものだった。かつてフリーレンは魔王討伐に誘われた際、長らく魔族との戦いを避けていたことから「今さらだよ」と拒否したが、ヒンメルは「それがどうした、フリーレン。ぼくは今の話をしている」と発破をかけたのだ。

 また第28話にて、フリーレンはフェルンとシュタルクから、旅の途中で出会った人々とあっさりと別れる理由を問われる。それに対して彼女は「また会った時に恥ずかしいからね」と答えるのだが、この言葉は「涙の別れなんて僕たちには似合わない。だってまた会ったときに恥ずかしいからね」と言ったヒンメルに影響されたものだった。

 こうしてみると、ヒンメルの言葉や考え方がフリーレンの心にしっかりと根付いていることが分かるだろう。

 二度目の旅路を通して、自分の心を占めているヒンメルの大きさを次々と発見していくフリーレン。アニメ第2期ではこの2人の絆がどんな風に描かれるのか、今から放送が楽しみでならない。

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