『おむすび』橋本環奈が体現する結の“苛立ち” 『カムカム』勇に重なる陽太の切なさも
『おむすび』(NHK総合)第8話で、結(橋本環奈)の父・聖人(北村有起哉)は、かつて歩(仲里依紗)がギャルになり、不良のようになったことを後悔していた。結が同じようにならないか心配する聖人に、結の母・愛子(麻生久美子)がその心配は度を越しているとたしなめると、夫婦喧嘩が始まってしまう。
橋本が表現する結の苛立ちが印象的だ。結はハギャレンのギャルたちにも、聖人にも、姉・結と比べられてしまう。自分の部屋で、両親が喧嘩している声を聞きながら「ムカつく」「ギャルもお父さんもみんなムカつく」と呟く姿には、結が抱えている鬱屈とした気持ちが表れていた。憂いを帯びた瞳に、結のやきもきとした気持ちが感じ取れる。
そんな結は書道部にいるとき、青春を謳歌した気分に浸っている。しかし、心は常にハギャレンや家族のことがひっかかっているようで、晴れない顔を浮かべることも多い。もちろん、結にとって憧れの存在である風見(松本怜生)を意識するような描写や野球部の試合の応援のためにつくった横断幕に書道部全員で手形をつける場面でのイキイキとした表情を見ていると、今の結にとってはハギャレンよりも書道部の方が居心地の良い場所になっていることは分かる。だが、おそらく結が最も望んでいるのは姉と比べられないこと、自分らしさを追求することなのではないか。今は書道部が、青春を謳歌できる場所となっているが、「書道」自体に心惹かれる描写はあまり見られない。
ただ、風見が書いた「一致団結」という言葉に心動かされる様子があった。ハギャレンとの交流や“パラパラ”もまた「一致団結」につながるものに思える。書道部とハギャレンという2つの居場所に結がどう向き合うのか、彼女の変化が楽しみだ。