“Kalafina復活”の衝撃 『空の境界』『まどマギ』などに欠かせなかった極上の音楽

 『空の境界』や『魔法少女まどか☆マギカ』『Fate/Zero』といった人気作品に携わったから、Kalafinaは人気があった訳ではない。3人がそれぞれに奏でる歌声の素晴らしさがあり、それらが組み合わさって紡がれる歌の世界の凄さがあって、聞く人を引き込んだ。例えるならWakanaは天上に座す天使のような高潔さを漂わせる歌声で、KEIKOは地にあって世界を統べる地母神のような強い響き、Hikaruは奔放に跳ね回る女神のような軽やかさといったところだろうか。その3人が、時にそれぞれのパートを歌い、時に歌声を重ねて聞かせる楽曲は、ジャンルで括れるものではなかった。もはや“Kalafinaという音楽”としか言いようがないものだった。

 その唯一無二だったユニットが、2018年3月11日に豊洲PITで開催された「チームスマイル」東日本震災復興支援ライヴ『Toyosu Music Collaboration』を最後に、歌声を聞かせてくれなくなって6年あまりが経過した。途中、梶浦のステージにHikaruが参加し、FictionJunctionの歌姫として参加していたKEIKOに別の1人を加え、Kalafinaの楽曲を聞かせる機会もあった。それはそれでファンには嬉しい“復活”だったが、やはり誰かが欠けてもKalafinaらしさとは違ったものになることも、改めて示された。

 だからこそ、2025年1月15日に東京ガーデンシアターで開催予定の『Kalafina Anniversary LIVE 2025』に向かうファンの気持ちはとてつもなく熱い。待ちに待ったあの歌声、もう聞けないのかもしれないと思い込んでいたあの響きにまた会えるということで、何を置いても駆けつける気持ちでいっぱいだろう。現時点では果たしてチケットを取れるのかが最大の不安要素だ。

 梶浦の不在と、それに伴い予想されるKalafinaのステージを支えてきたバンドメンバーの不在がどう影響するかといった声もあるが、2018年3月3日に両国国技館で開催のアコースティックイベント「Songful days -次元ヲ紡グ歌ノ記憶-」に出演したKalafinaは、いつもとは違う雰囲気の中で茅原実里、May'nとともにステージを務めた。復活ライブでも圧巻のコーラスワークに加えて、次につながる新しいKalafinaの姿を見せてくれるのではといった期待も少なくない。

 Kalafinaの3人がそろって姿を見せたのは、2018年3月30日開催の映画『Kalafina 10th Anniversary Film ~夢が紡ぐ輝きのハーモニー~』の舞台挨拶だった。そこでKEIKOは、「1人だからできることももちろんあると思いますが、まったく違った3人がいっしょに歌を歌うことで生まれるのは未知数です」と言って、個性的な3人が集まったKalafinaだからこそ奏でられる音楽があることを改めて訴えていた。その時から6年あまりが経って、ようやく聞かせてくれる復活のハーモニーの輝きはいかばかりか。

 歌声が放たれる瞬間が待たれる。

参照
※ 産経エクスプレス 2010年3月16日より(筆者取材)

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