アニメ×パチンコが生む“相乗効果” 『リゼロ』『エヴァ』『アクエリ』のヒットを紐解く

『とある科学の超電磁砲』のアニメ演出を生かした新機種

 9月から導入が始まった「Pとある科学の超電磁砲2」は、鎌池和馬のライトノベルシリーズ『とある魔術の禁書目録(インデックス)』を原作に、スピンオフとして登場した『とある科学の超電磁砲(レールガン)』のアニメシリーズが使われている機種だ。プロモーション映像を見ると、主人公の御坂美琴が繰り出す、指先でコインを弾き飛ばすレールガンというド迫力の技が登場して、何か起こりそうだといった期待を誘う。

 美琴を異常に慕う後輩の白井黒子が、作中のイメージそのままに「変態」の要素を持ったキャラとして登場してくるところは、どういうキャラなんだといった興味を抱かせる。アニメや漫画を知っている人には“分かる”使い方だが、知らない人でも面白いと思われそう。

 一方通行(アクセラレータ)という、「とある」シリーズきっての悪役キャラの登場が、大当たりのような演出と結びついていそうなところも、原作のファンなら待ってましたと大喜びできるが、そうではない人でも、ボス登場といった雰囲気に浸れる。『エヴァ』のパチンコ機が登場した時代から20年が経って、アニメ好きとパチンコ好きが重なる割合も増えたように思われるが、年配の人にはやはり遠い存在。それでも、遊技機として楽しめるようにすることが、アニメを題材にする上で大切な要素なのだろう。

日本アニメ文化の一角を担うパチンコ機

 アニメのパチンコ化について書かれた本に、『封印作品の謎』で知られる安藤健二がまとめた『パチンコがアニメだらけになった理由』(洋泉社)がある。2011年の刊行で、当時の状況として映像コンテンツが欲しいパチンコ業界と、ライセンス収入を得たりリバイバル効果を狙ったりしたいアニメ産業の思惑の一致で、アニメを題材としたパチンコ機が増えていることが指摘されていた。13年が経った今も状況は変わってないようだ。

 むしろ堂々と、アニメ産業がパチンコ業界を商品化展開の一例として見るようになった雰囲気もある。「エヴァ博」でのパチンコ機の展示などもその一端。秋田の横手市増田まんが美術館で開かれた際にも、16台のパチンコ機が公立の美術館に展示された。アニメ文化の一角を遊技機が担っていることの証明だったと言えなくもない。

 気になるところでは、テレビアニメの第3期が、日本テレビで金曜の23時から放送中の『転生したらスライムだった件』が、11月5日の導入開始で「P転生したらスライムだった件」としてパチンコ化される。地上波の全国放送に移ったことで作品の知名度が一気に上がったタイミングだけに、試してみようと思う人も結構いそうだ。暴風竜ヴェルドラや魔王ミリム、悪魔ディアブロといった癖のあるキャラたちの登場や、第1期と第2期を通してリムルが成長していく展開を受けた演出があれば、ファンなら懐かしがりながら遊べるだろう。テレビアニメの第3期が終わるロスを埋めて、次につなげる役割も果たしそうだ。

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