アラン・ドロン最大の特徴は“二重性”だった 日本で愛された理由を映画評論家に聞く

アラン・ドロンが日本で愛された理由

 1980年代に入ると、ドロンの商業的な影響力は徐々に衰えていった。しかし、1990年にジャン=リュック・ゴダール監督が『ヌーヴェルヴァーグ』でドロンを主演に起用したことは、大きな話題を呼んだ。

「この起用は、ドロンの二重性をゴダールが巧みに活用した試みだったと思います」と荻野氏は分析する。

「ゴダールは当時、有名スターを起用して、ある種のギャップを生み出す実験的な挑戦を続けていました。ドロンの起用もその一環だったように思いますが、同時にドロンのスター性と演技力、そして『太陽がいっぱい』や『地下室のメロディー』などの代表作で体現してきた“なりすまし”というドロンの二重性を深く理解した上での選択だったのだと思います」

 アラン・ドロンは、エンターテインメントとアートの両面で輝いた稀有な俳優だった。現代の視点から彼の作品群を再評価することで、新たな魅力を発見できるはずだ。アラン・ドロンの死を悼むとともに、彼の出演作に、もう一度目を向けてみてはいかがだろうか。

参照
※ https://x.com/ElleaWatson/status/1448159663795564547

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