『SKYキャッスル』はリメイク作視聴前に必見! 上品な社会風刺は観始めたら抜け出せない
また、お受験ドラマながら、サスペンス、ブラックコメディとしても楽しめる本作だが、ヒューマンドラマとしても見応え十分。子どもをエゴの道具にして暴走する母親たち、自分のやり方だけに固執する父親たち、親の期待に応えようと必死になる子どもたち、そしてその果てに見えてくる真実もしっかりと描かれていく。本作は一度観始めたら止められないとよく宣伝されているが、久々に観直して実感した。実は、人間ドラマが濃密で面白いのだ。だから止められない。不覚にも何度も涙してしまった。
それはおそらく俳優陣の演技のすばらしさも影響している。主人公となった中堅俳優たちの演技力がドラマの魅力を牽引する。
秘密を抱える教育ママ役で百想芸術大賞の最優秀演技賞を獲得した映画『密輸1970』のヨム・ジョンアの迫真の演技もドラマを盛り上げるが、同賞で助演賞を受賞した『医師チャ・ジョンスク』のキム・ビョンチョルも目を引く。本作は彼の出世作でもある。子どもに対して歪んだ愛情を持つロースクール教授の父親役を演じているが、ドラマにシュールな笑いを提供し、最後には笑って泣かせる。また、合格させるためなら手段を選ばない入試コーディネーター役を演じた『誰も知らない』のキム・ソヒョンも強烈な存在感。畳みかけるように「後悔しないか」とヨム・ジョンア扮する母親を追い詰める姿が圧巻だ。
抑圧される子どもたちを熱演した若手の中には、その後、主演俳優に昇格した俳優もいる。特に、今年大ヒットした『ソンジェ背負って走れ』のキム・ヘユンが同作とはまったく違う自己中な優等生役を演じているのは見どころだろう。『ソンジェ背負って走れ』で共演したソン・ゴニも、キーパーソンとして出演している。
現在、日本で配信されているのは、韓国で全20話だったものを全36話に編集したバージョンが多い。韓国放送版は1話ごとラストが秀逸で、次が観たくなる仕掛けがあった。視聴率を伸ばしたひとつの要因であったように思う。それが異なるのはちょっと残念ではあるが、それでも充実した内容は変わらない。第4話まで観たら確実に、『SKYキャッスル』の世界から抜け出せなくなるだろう。
参照
※ https://globe.asahi.com/article/12071863
■配信情報
『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』
Netflixにて配信中、Prime Videoにて6月25日(火)より見放題配信
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