岡田惠和が『南くんの恋人』を描き直す“意義” 現代的な“アイドル論”を絡めた作品に?
岡田が脚本を手がけた1994年版のテレビドラマ『南くんの恋人』は、男性と肉体的に触れ合えない女性という、アイドルとオタクの関係を描いたものとも解釈できる。
「アイドルが主演のドラマも多数手がけていることもあってか、アイドルとオタクの関係は、岡田さんがずっと描いてきたテーマなんです。たとえば、『泣くな、はらちゃん』(2013年/日本テレビ系)は、長瀬智也さん演じる漫画の世界から実体化したキャラクターと、冴えない日々を送る鬱屈したアラサー女性の恋愛を描いているし、『セミオトコ』(2019年/テレビ朝日系)もHey! Say! JUMPの山田涼介さん主演でセミから人間に変身した青年とアラサー女性のひと夏の物語を描いている。どちらもアイドルが、人間とは違うファンタジックなキャラクターを演じているのですが、原点はやはり『南くんの恋人』だったと思います。また、1994年の『南くんの恋人』の時は、“アイドル=疑似恋愛”という認識が一般的で、南くんとちよみの関係も、プラトニックラブとしての側面が大きかったのですが、現在では“推し”という概念が普及し、アイドル自体が漫画やアニメのキャラクターに近い存在に変わり、疑似恋愛とは違う関係になりつつあるともいえます。『泣くな、はらちゃん』『セミオトコ』で描かれた“人間ではない存在との共存”というテーマが、2024年版でどう描かれるのかは、とても気になります」
ベテラン脚本家となった岡田惠和が再び同じ題材で筆を執ることについて、成馬氏は、「岡田さんにとっても、1994年版の『南くんの恋人』を手がけたことは大きな経験だったのでは」と語る。
「岡田さんの作風は大きく分けると二つの路線があります。、一つは『若者のすべて』(フジテレビ系)、『彼女たちの時代』(フジテレビ系)、最近では『日曜の夜ぐらいは...』(ABCテレビ・テレビ朝日系)といった山田太一脚本のドラマを彷彿とさせるリアルな群像劇。もう一つが漫画やアニメのエッセンスを取り入れたファンタジードラマ。『南くんの恋人』は後者で、岡田さんの原点とも言える作品です。だからこそ、2024年に『南くんの恋人』に帰ってきたのは、すごく面白いなと感じています」
岡田の原点ともいえる『南くんの恋人』から約30年。2024年版として帰ってきた『南くんが恋人!?』は、アイドル論やジェンダー問題をはじめとした社会問題とどのように向き合っていくのか。
■放送情報
『南くんが恋人!?』
テレビ朝日系にて、7月スタート 毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:飯沼愛、八木勇征(FANTASTICS)
原案:内田春菊『南くんの恋人』(青林工藝舎刊)、『南くんは恋人』(ぶんか社)
脚本:岡田惠和
監督:宝来忠昭(テレビ朝日)、小松隆志(テレビ朝日)ほか
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
ゼネラルプロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)
プロデューサー:神田エミイ亜希子(テレビ朝日)、布施等(MMJ)、村山太郎(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
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