『虎に翼』伊藤沙莉が試練を乗り越えて栄光を掴む 女性というだけで上がるハードルの存在
女が男に勝つには、桂場が言うように「誰をも凌駕する」圧倒的な成績を残さなくてはならない。気合十分の寅子は、思わぬ事態に見舞われる。予定よりも早く生理が来て、痛みをこらえながら試験を受けることになった。女性というだけで、ただでさえ色眼鏡で見られるのに、心身の不調も相まって何重にも上がるハードル。帰宅するなり自室で泣き出した様子から察するに、不本意な手応えだったことは想像にかたくない。
体調不良でも合格したことは、寅子の実力の証である。けれども、手放しで喜べなかった。轟、久保田、中山も合格したが、そこによねと優三の名前はなかったからだ。仲の良かった女子部の親友は、寅子以外、誰も受からなかった。長い間、挑戦し続けた優三の努力は水泡に帰した。自身の名前がないと知った優三の表情は、無そのものだった。
優三は試験からの撤退を告げる。不合格でも寅子の合格を喜び、筆記試験を通ったのは寅子のおかげと感謝できる優三の人間性を、誰が否定できるだろうか。引きとめる直言(岡部たかし)と、ねぎらうはる(石田ゆり子)の優しさが沁みた。
参照
※ https://www.nhk.or.jp/tottori/lreport/article/002/40/
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK