映画『名探偵コナン』は日本の『ワイスピ』に アクション好き必見の“タガ”の外れ具合

 本作は探偵も怪盗も映画オリキャラも真剣ぶんぶんブン回し映画だが、それについては前例がある(『名探偵コナン 迷宮の十字路』のこと。謎の剣客集団が出てくる)わけで、コナン映画としてはそれほど驚くべきことではないのかもしれない。街中での銃撃戦も『名探偵コナン 異次元の狙撃手』(2014年/街中の銃撃戦でマイケル・ベイ並みにパトカーが横転しまくる)に比べればかわいいものである。その点でいえば今年のコナン映画は控えめでそれほど派手ではないほうだ。その一方で登場人物の身体能力は『ワイルド・スピード』シリーズ並みにおかしなことになっているし、敵味方問わず遵法精神の欠片もない大暴れぶりが見れるため、今年も相当様子のおかしなアクション映画に仕上がっている。

  『100万ドルの五稜星』が公開されたことによって『オッペンハイマー』(2024年)と『デューン 砂の惑星PART2』(2024年)といった超大作が追いやられていることについて、批判めいた言説が上がっている(コナン映画への批判というより、映画館への批判だが)。確かに両作共にIMAXで観ることに極上の価値を置いた作品だ。IMAXを想定して製作されたわけではないアニメーション作品に枠が奪われる悲しみは理解できる。

 筆者も『流転の地球 太陽系脱出計画』(2024年)というスケール感と映像のデカさでは今年暫定1位の超大作が上映終了に追いやられてしまいとても悲しい。『オッペンハイマー』ももう一度観ようと思っていたが、近隣の映画館では気づいたら早朝にしかやってない。しかし、そもそもコナン映画も特大のスペクタル映画であり、日本唯一のアクション超大作シリーズでもある。コナン映画も間違いなく映画であり、本来なら『デューン 砂の惑星PART2』や『流転の地球 -太陽系脱出計画-』と相反する作品ではない。

 無論「IMAXの枠をコナンに明け渡せ!」と主張しているわけではない。コナン映画はIMAXスクリーンでなくても十分に楽しめる作品だ。ただコナン映画は日本の『ワイルド・スピード』的存在であり、日本を舞台に好き放題暴れ倒す貴重なシリーズなので大切にしてあげてほしい。つまり言いたいのは、アクション映画好きはコナン映画を観てほしいということと、一回だけでいいので『流転の地球 -太陽系脱出計画-』にもIMAXの枠を渡してほしいということだけだ。

■公開情報
劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』
全国東宝系にて公開中
原作:青山剛昌
監督:永岡智佳
脚本:大倉崇裕
音楽:菅野祐悟
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、小山力也(毛利小五郎)、山口勝平(怪盗キッド)、堀川りょう(服部平次)
スペシャルゲスト:大泉洋
主題歌:aiko「相思相愛」(ポニーキャニオン)
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館、読売テレビ、日本テレビ、ShoPro、東宝、トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
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