現在放送中のTVアニメ『WIND BREAKER』は、今までにない“街を守る不良たち”の姿が描かれていることでも連載時から注目を集め、原作ファンも多い作品だ。アニメが放送される前から渋谷の至る所に広告を掲示し、キャラクターボイスが流れるアドトラックも走行させた“渋谷ジャック”や“コラボカフェ”などのイベントが行われていたことも話題に。今回はそんな本作の原作ファンであり、コラボイベントにも度々足を運ぶ筆者がアニメ版での注目ポイントやイチオシのキャラクターについて紹介していく。

物語の良さを引き出した“アニオリ演出”

　現在第3話まで放送中の本作。第1話は主人公の桜遥が綱渡りをするシーンから始まるのだが、原作ファンの中には「ここから始まるのか……！」と驚いた方も多いのではないだろうか。こちらは本来原作コミック8巻で描写されていた場面であり、物語が大分進んでから明かされるカットであるからだ。しかしあえてこちらを序盤に持っていくことで、桜の心境やこれまで置かれていた環境が初見の視聴者にもわかりやすく明示されている。さらにアニメオリジナルのセリフが加えられたことにより、現時点で原作でもほとんど触れられていない「桜の過去」が垣間見えた瞬間でもあった。　

　またファンの多くを魅了したのがアニメ版におけるアクションシーンである。バトルシーンが多い本作のアクション描写は、アニメーションで実際に動きがついたことにより臨場感が溢れ、より引き込まれる演出となっていた。時折桜目線の映像に切り替わるのも迫力が増し、観ているこちらまでもハラハラさせられてしまう。今後の戦いがどのように表現されるのか今から楽しみだ。

キャスト・スタッフ陣が作り出す“アニメーション”ならではの良さ

※以下、原作コミック『WIND BREAKER』の展開に一部触れています

　『WIND BREAKER』ではアニメ化前から声優を起用した公式PVが出ており、内田雄馬、内山昂輝、島﨑信長、中村悠一の4名の声を聞くことができた。筆者が特に注目したのはアニメ化決定後にキャストが発表された鈴木崚汰である。彼が演じているのはアニメ第1話から登場し、圧倒的な活躍を見せてくれた風鈴高校3年・柊登馬だ。敵の使用していたバットを折ったりと登場時から「強さ」を象徴するカットが多く描かれている柊だが、「喫茶ポトス」で働く女性・橘ことはに対して話しかける場面では彼の「やさしさ」が詰まっており、アニメでは声が入ることによってさらにその後のシーンとのギャップが感じられた。　

　鈴木は“役作りで意識したこと”について「威厳やプレッシャーをかけられるキャラクターにという部分で、だいぶドスを増し増しにしました！」と語っている。（※）既に原作を読んでいる方も、ぜひこちらのカットをアニメでチェックしていただきたい。

　続いてアニメ制作に大きく携わっているスタッフにも目を向けていこう。本作で監督、さらに第1話で絵コンテや演出にも携わっている赤井俊文はアニメ『SPY×FAMILY』の第11話でも絵コンテと演出を担当している。アーニャが溺れている子どもを救出するために駆け出し、プールへ飛び込むシーンは『WIND BREAKER』同様の躍動感があり、強く心を打たれた。