『怪獣8号』の“凄さ”をアニメ制作陣から読み解く 美術と怪獣デザインのこだわりに注目

『怪獣8号』の凄さを制作陣から読み解く

 松本直也が描く漫画『怪獣8号』は2020年7月の連載開始以来、ネットを中心に大きな話題となり、コミックス第1巻のみで発行部数43万部を突破して、2020年度の「コミックス第1巻 年間売上ランキング」の1位に輝いた。「次にくるマンガ大賞2021」ではWeb部門1位を受賞。2023年3月時点でコミックスの累計発行部数が1,000万部を突破、2024年4月現在は1,300万部を突破(いずれも電子版含む)と、いずれも凄まじい大ヒットを記録している。既刊12巻が発売中の今まさに、満を持してテレビアニメ化を果たした。

 巨大怪獣が災害の如く頻繁に日本を襲う中、怪獣を討伐する「日本防衛隊」の入隊を少年時代に目指していた日比野カフカは30代を迎え、夢を諦めて怪獣の遺体を片付ける清掃業「モンスタースイーパー」で働いていた。そんなある日、カフカの身体に異変が起き、怪獣に変身してしまう。“怪獣8号”という呼び名で追われる身となったカフカは、後輩の市川レノに促されるまま正体を隠して逃亡。現在は防衛隊の部隊長になっている幼馴染の亜白ミナに追いつくため、再び日本防衛隊の入隊を目標にするーーというのが、大まかなあらすじである。

『怪獣8号』第1話

 アニメ化が報じられて以来、2023年12月開催の「ジャンプフェスタ2024」で、アニメの声優陣が登壇するお披露目イベント、2024年3月はAnimeJapan『怪獣8号』スペシャルイベントに加え、全国30館のTOHOシネマズでテレビアニメ第1話、第2話の先行上映会と、大がかりな催しが次々行われた。その間にも様々な食品会社や外食チェーン、立川市とのコラボ企画も目白押しだ。これほどまでに制作陣が強力なプロモーションを打って出ているのも、それだけ作品の質に自信があるからに他ならない。

『怪獣8号』第2話

 まず注目ポイントのアニメーション制作会社だが、本編は『攻殻機動隊』シリーズや『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ、それに現在、全国の映画館で大ヒット中の『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を手がけているProduction I.G。そして怪獣デザイン&ワークスは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを制作したスタジオカラーが担当している。アイジーといえば、2023年放送のテレビアニメ『天国大魔境』も記憶に新しい。アイジーとカラーがタッグを組む作品と聞いただけで、目ざといアニメファンならチェックせずにいられないだろう。

『怪獣8号』第2話

 監督は、池波正太郎原作の時代劇をアニメ化した『鬼平』の宮繁之と、アイジー制作の『PSYCHO-PASS サイコパス 3』(2019年)、『憂国のモリアーティ』(2020年)にスタッフ参加していた神谷友美が共同で務める。

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