橋本環奈のツッコミ炸裂! 『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』異質な作劇がクセになる

 改めてこれがおとぎ話ファンタジーであると思い出したところで、劇中の中盤ほとんどを占める舞踏会のシーンでは、佐藤二朗演じる王様の登場で再びナンセンスコメディのテイストに引き戻され、同時に舞台劇的シチュエーションにも回帰する。そして赤ずきんがそれまで不在だったあるキャラクターと対話する夜の森(これもまた背景の大樹が良い雰囲気を出している)のシーンを境に、急激にミステリー展開へと走り出して畳み掛けるのだ。

 考えてみれば“おとぎ話”も“ミステリー”も、おおよそのストーリー展開のしきたりのようなものがれっきとしたかたちで確立されたジャンルである。それを時に細切れにし、断絶し、福田コメディというサービス精神に満ちたギャグで繋ぎ合わせながら再構築していく。このアンバランスに思えるほど異質な作劇のリズムを、究極ポップな作風へと落とし込むのは、やはりキャストのアンサンブルに他ならないだろう。

 赤ずきん役の橋本環奈はこれまでの作品でも繰り出してきた“変顔”を最低限に抑え、ツッコミ役に徹する。福田組常連のムロツヨシと佐藤二朗のアドリブの効いたボケは適宜飛び出しつつも過度にボケ倒すことはせず、代わりに真矢ミキと夏菜がコメディリリーフを担う。そして、新木優子と岩田剛典は純然とキラキラしたおとぎ話の世界線のなかに留まりつづける。ここもまた各キャラクターのトーンの違いが顕著にあらわれており、一筋縄ではいかないアンバランスさを隠さない。

 おとぎ話という最高に盤石な土台と制作陣の技術力に支えられた舞台の上で、一触即発しそうなほど強烈な個性を持ち合わせたキャラクターと作劇というアンバランス同士をぶつけ合わせ、たしかにエンターテインメントへと昇華させる。出来上がった本編を観るといつも力技であるように感じてしまう福田作品だが、今回発売されるBlu-ray&DVDに収録されるメイキング映像を観ると、極めて入念に段取りを組みながら、それぞれの演者の個性を瞬時に判断して引き出そうとする丁寧な仕事ぶりが見て取れる。映画づくりにおいて当たり前の姿ではあるかもしれないが、作品とのギャップがあまりに著しく、興味深い。“コメディの雄”はこれだから侮れない。

■リリース情報
『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』
3月29日(金)Blu-ray&DVD発売

Blu-ray:6,380円(税込)
DVD:5,390円(税込)

<映像特典>
・メイキング~おとぎ話とコメディそして時々サスペンスの作り方~
・キャストインタビュー

<封入特典>
・8Pブックレット

出演:橋本環奈、新木優子、岩田剛典、夏菜、若月佑美、桐谷美玲、ムロツヨシ、加治将樹、長谷川朝晴、犬飼貴丈、山本美月、キムラ緑子、真矢ミキ、佐藤二朗
原作:青柳碧人『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(双葉社刊)
主題歌:SEKAI NO OWARI「タイムマシン」(UNIVERSAL MUSIC)
監督:福田雄一
エグゼクティブ・プロデューサー:佐藤善宏(Netflix)
企画統括:佐々木基
プロデューサー:松橋真三(クレデウス)鈴木大造(クレデウス)
制作プロダクション:クレデウス
制作著作:テレビ朝日
企画・製作 Netflix
発売元:株式会社テレビ朝日
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
©青柳碧人/双葉社・テレビ朝日

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