アジア人の透明化? ロバート・ダウニー・Jr.らのオスカー受賞を巡る炎上の経緯

アカデミー賞で物議を醸したアジア人の透明化

 それに加え、主要部門は他の部門と違ってスピーチ時間を長く用意されている傾向がある。つまり、そこまで急がなくていいし、プレゼンター1人ずつと握手をしたってそんなに大した時間にはならないのだ。あらゆる事情や背景があったと後から説明ができたり、不仲ではないとアピールしたりしても、結局のところステージ上で相手をリスペクトした行動を取れなかった事実は拭えないのではないだろうか。

 先に紹介したヨーのInstagramのコメント欄には、「あなたが弁解する必要はない」「あれは典型的な差別」と逆に彼女たちを庇うヨーにも批判的な意見が垣間見える。ストーンは予期せぬ受賞にパニック状態だったものの、ローレンスはそうさせてくれたヨーに「ありがとう」と感謝もできたはず。その気持ちがボディランゲージにも表れていなかったことが、今回の批判に繋がったのではないだろうか。

 筆者は個人的に、ローレンスがプレゼンテーターとして『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のリリー・グラッドストーンに賞賛コメントを送る際、他のプレゼンターよりもグラッドストーンに対してアイコンタクトが少なくてほぼカメラ目線、言葉も何となく気持ちが感じられない棒読み加減だった点が先に気になっていたのだが……今考えると、親友のストーンに受賞してもらいたい気持ちから、一番のライバルだったグラッドストーンに対して、あのような態度になったのかもしれない。しかし、どんな理由があるにせよ「失礼」なことには変わらないのだ。

 本件の真意は誰もわからない。しかし重要なのは、真意が伝わらない状況だからこそどんな言動が他者から見て「失礼」にあたりえるか、それを考えた行動を特にアカデミーのステージ上など公の場では常に意識して取らなければいけないということだろう。

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