『Eye Love You』国外からも反響多数 プロデューサーが込めた「みんな元気に」の願い
毎週火曜22時よりTBS系で放送されている『Eye Love You』が、日本のみならず国外でも話題を呼んでいる。Netflixの「週間TOP10」でも1位を獲得し、主人公・侑里(二階堂ふみ)とテオ(チェ・ジョンヒョプ)の恋の行方に多くの視聴者が夢中になっている。侑里の「目が合うと相手の心の声が聞こえてしまう」テレパスの能力という、ともすればファンタジー過ぎてしまう設定を、リアリティをもった“私たち”の話として受け入れられる物語にいかにして作り上げたのか。制作の経緯から、撮影の裏側まで、プロデューサーの中島啓介に話を聞いた。
「みんなに元気になってほしい」が制作陣全員の願い
――本作を作るに至った経緯を教えてください。
中島啓介(以下、中島):ここ数年、韓国ドラマファンの方も増え、日本で韓国コンテンツに触れる機会も多くなったと感じていました。単発ドラマとしては今までにも韓国、中国など海外の俳優の方と一緒に作品作りをされていることはありましたが、連続ドラマとしての試みはなかなかありませんでした。僕の周りには侑里とテオみたいに付き合っているカップルがいますし、僕にも韓国人の友達がたくさんいます。その辺りの垣根がなくなっている中で、こういうドラマがあってもいいんじゃないかと純粋に思ったことが最初のきっかけです。チャレンジングな企画でしたが、「やってみよう」と会社が言ってくれたことに大変感謝しています。韓国ドラマ好きな方にも、日本のドラマ好きな方にも喜んでもらえる“ラブストーリーの新しいドラマ”という思いで制作しております。
――主演の二階堂ふみさんの魅力を聞かせてください。
中島:二階堂さんは皆さんもご存知の通り、とんでもなく芝居が上手い。コミカルからグッとくるエモーショナルなシーンまでの振り幅がある素晴らしい俳優さんです。今回は、予想もできない現場になる可能性があったので、受けていただく人の対応力が必要だったと思います。二階堂さんには、どんなことが来ても芝居で受けてくれる強さがありましたし、同時にこの試みを一緒に面白いと思ってくれたことが一番大きくて。コミュニケーションの面では言葉の問題がありますが、それを一緒に乗り越えながらいい現場を作ってくださり、本当に二階堂さんがいるからこそ現場が回っていると感じます。ファンタジーにしか見えなくなってしまいがちな設定ですが、そこを二階堂さんの生きたお芝居の素晴らしさで、“すぐそばに存在するかもしれない主人公”として、しっかり演じてくださっているところが魅力ですね。
――チェ・ジョンヒョプさんを相手役にキャスティングした理由は?
中島:ジョンヒョプさんにも、このチャレンジを受けてくださったことに感謝しています。外国の言葉で台詞を全部覚えて、そこに表情を乗せて芝居にすることは、役者にとって大変な努力が必要なこと。それを引き受けてくれたとんでもないメンタルの持ち主です。ジョンヒョプさんの魅力は、やはりとてつもない演技の振り幅だと思います。かわいい顔や怒った顔をしている時もあれば、シリアスな表情をしている時もある。心情の振り幅をしっかり作って演じてくれるので、その表情の変化のおかげでテオのキャラクターが面白くなっていると思います。
――『Eye Love You』は、韓国のNetflixでもランキング上位の方に入っています。国外からも大きな反響があると思いますが、これについては?
中島:おかげさまで韓国のNetflixでもずっとTOP10に入っているようで好調です。韓国の視聴者の方からも、二階堂さんとジョンヒョプさんのかわいい掛け合いに魅力を感じてもらっているようです。僕らが作るときも、韓国ドラマのラブストーリーを観ながら「韓国の方はどういうところに胸がグッとくるのか」も参考にしているのですが、共通する部分はあるのかもなと。日本の俳優の芝居を韓国の皆さんが観てくれるのも純粋に嬉しいですし、日韓で作るコンテンツが、日韓両方から楽しいと思ってもらえるのが一番いい形だと思います。
初めての座組の企画だったので、正直どのような反応になるのかは予想もつきませんでした。「みんなに元気になってほしい」というのが二階堂さんやジョンヒョプさん含めたキャスト・スタッフ共通の思いでしたので、いろいろな方に作品を観ていただけてすごく嬉しいですし、「このドラマを観て元気になった」という声があるのを知って、ほっとしている状態です。まだ中盤ですが、最終回までずっとみんなが明るく楽しくいい気分になれるようなドラマになったらいいなと思っています。
――TBS火曜ドラマらしく胸キュンのシーンがたくさんありますが、どんなふうに構想を練られたのでしょうか?
中島:今回は韓国人のプロデューサーも1人入っておりまして、脚本家の三浦さんと山下(すばる)さんは30代前半の若い女性の脚本家さん。皆さん胸キュンアイデアのネタをたくさん出し合ってくれました。視聴者の方がワクワクしたり、胸がときめくような要素をたくさん取り入れています。例えば第3話のラストで約束をするときに親指と親指で判子を押してからコピーをするシーンがありました。そういう日本にはない仕草なども新鮮でした。あとは韓国人男性のストレートな部分や、連絡をまめにするなど、そういう“かわいらしさ”みたいなものは脚本家チーム、制作チームの経験談も台本に落とし込みました。さらに、ジョンヒョプさんが韓国人ならではのアイデアを出してくれるので、たくさん取り入れさせてもらっている状態ですね。
――ジョンヒョプさんからは、どのようなアイデアがありましたか?
中島:ジョンヒョプさんは「こうやった方が、侑里さんがキュンとくるんじゃないですか」とかなり提案してくださるので、毎シーン1箇所は必ずジョンヒョプさんからのアイデアがあります。例えば第1話のラストの方で、テオの家の前の橋を侑里が歩いている時に、屋上からテオが「そこのキョロキョロしてるかわいい人」と叫んだセリフです。あのセリフは爆発力があってすごく面白いなと思いました。ほかにも、第4話のラストでひざまずいて侑里の薬指にリボンを結ぶ際、後、手の甲にキスをしそうになるシーンがありましたが、あれもジョンヒョプさんのアイデアです。これらのアイデアは分かりやすく目に見えるところですが、そうじゃない部分にもすごくたくさんあって。僕らの想像を超えたところにある面白いアイデアをたくさん取り入れさせてもらっています。