今田美桜が朝ドラで日本を明るくする! いまの時代のヒロインに相応しい“光と陰”の魅力

 2025年度前期NHK連続テレビ小説『あんぱん』のヒロインを今田美桜が務めることが発表された。本作は、『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと小松暢の夫婦をモデルとした勇気の物語。実在の人物、しかも国民的作品を生み出した夫婦の物語ということで、キャスト発表前から本作への期待値は非常に高かった。自ずとヒロインのハードルも高く上がりきった状態だったといえるが、今田美桜のヒロイン抜擢は誰もが納得するところだろう。

 『ネットと朝ドラ』の著書であり、“日本で一番朝ドラコラムを執筆している”ライターの木俣冬氏は、今田を「いまの時代のヒロイン」とその魅力を語る。

「毎朝放送される朝ドラには、視聴者に“元気”を与えることが求められている部分があります。作品によってトーンの違いはありますが、その真ん中に立つ主演には、優れた演技力と同時に、不思議と周囲を明るくするような天性の“陽”性が求められやすい。その点、今田さんは間違いなく、その要素を持ち合わせた俳優だと思います。ヒロイン発表会見の写真を拝見していても感じましたが、今田さんの笑顔は周囲を明るくする力がある。かといって、ともすれば嫌われる要素をもった、ザ・朝ドラヒロインの“天真爛漫キャラ”というわけでもない。2023年10月期のドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)の夜々ちゃんがまさにそうだったように、華やかさの奥にある寂しさや切なさも表現できる。まさにいまの時代が求めるヒロインの魅力を十二分に持ち合わせた俳優さんだと思います。数々の作品で着実にキャリアを積み、お嬢様役もあれば、冷徹な役柄もあり、熱血キャラクターの役もあれば、ザ・ヒロインの役もある。これまで培ってきた役柄をすべて発揮できる、まさに満を持してのタイミングだと思います。今田さんは老若男女から支持されている印象で、これまで朝ドラを観ていなかった層にも観るきっかけを与えるような存在なのではないでしょうか」

 今田の朝ドラ初出演は、清原果耶が主人公・百音を演じた『おかえりモネ』。百音が上京して働くことになる気象情報会社「ウェザーエキスパーツ」のキャスター・神野マリアンナ莉子を演じた。木俣氏は『おかえりモネ』での今田の演技に釘付けになり、「いつかヒロインとして戻ってきてほしい」と待ち望んでいたことを明かす。

「『おかえりモネ』は物語が宮城・気仙沼からはじまり、今田さんの登場は東京編となる物語の転換点。そこで、“東京”をキャラクターとして具現化していたのが、今田さんが演じた莉子でした。主人公の百音が歩んできた人生とは明確に異なる人物であることが立ち居振る舞いで表現されていて、一気に画面が華やかになったことを覚えています。莉子は百音に直球の言葉をぶつけていたので、“高飛車な嫌なヤツ”になりかねなかったと思うのですが、安達奈緒子さんの脚本の巧みさと、今田さんが持つ華やかなの中にある陰の魅力があいまって、とても魅力的なキャラクターとなっていました。朝ドラの撮影の雰囲気もすでに熟知しているのも大きいと思うので、ヒロインとしても間違いなく輝くと感じています」

 『あんぱん』で今田が演じるのは、実在の人物・小松暢をモデルとした朝田のぶ。「ハチキンおのぶ」「韋駄天おのぶ」のあだ名のとおり、勝気で豪快な性格のようだ。一方、国民的作品『アンパンマン』の生みの親である漫画家・やなせたかしをモデルとした、のぶの夫は柳井嵩(やない・たかし)のキャストはまだ発表されていない。誰が演じるかわからない状態ではあるが、朝ドラ史に残る夫婦が誕生するのではないかと木俣氏は期待を寄せる。

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