『正直不動産2』板垣瑞生の成長に高まる期待 永瀬&月下のコミカルなやりとりが癒しに

 嘘のつけない不動産営業マンが活躍する痛快お仕事コメディ『正直不動産2』(NHK総合)。第2話「思いを伝える」では、ある一軒家の売却をめぐる困難に永瀬(山下智久)が立ち向かう。

 永瀬と月下(福原遥)は、客の寺島(迫田孝也)が売却を希望する空き家の物件調査にいくのだが、その家には現在も寺島の父と息子が住んでいた。永瀬が家族間での話し合いを求めるも、怒った寺島は神木(ディーン・フジオカ)に相談。神木は強引なやり方で売却を進めようとする。

 一軒家の売却をめぐる寺島たち家族の物語は、切なくも心がほっとする幕引きだった。不動産は一世一代の大きな買い物であるだけでなく、人々の暮らしになくてはならない存在だ。時に関わる人の人間性をも映し出す不動産が織りなす物語に心が揺さぶられた。

 本作では個性豊かな登場人物の一挙一動に心惹かれるが、第2話では十影(板垣瑞生)の言動に注目したい。

 十影は給与や出世よりプライベート第一な永瀬の後輩だ。カフェからリモートで出社していた十影は、物件調査に呼び出された時、見ているこちらも呆れるほどに気だるそうにしてやってくる。「てか、俺、来る意味あります?」「そういうの、ネットで調べりゃいいんじゃないですか」と十影の口からは何かと反発的な言葉が飛び出るが、永瀬と月下の言葉を何でもかんでも否定するわけではない。永瀬から「ニオイとか騒音とか、そういうのはネットに載ってない」と返された時、十影は何も言わなかった。もちろん、物件調査に面倒臭さを感じていることに変わりはなく、不服そうな顔を浮かべてはいたものの、永瀬の言葉にどことなく納得しているようにも見受けられた。十影を演じている板垣瑞生は、絶妙な表情変化と間で十影の感情の機微をあらわしている。

 十影が永瀬や月下と一緒に、神木が強引に家財処分を押し進める現場に駆けつけた時、十影に主たる台詞はなかったが、その佇まいから、直接足を運んで目にすることでしか体感できない現場の感覚を彼なりに捉えようとしている様子が感じられた。もちろんタムパ(タイムパフォーマンス)を重視する姿勢は相変わらずで、寺島の父と息子のために奮闘する月下に対して「それって不動産屋の仕事っすか?」と言い捨ててしまう場面もあった。その一方で、十影が「この間撮った寺島さんちのムービー、削除していいっすか?」と言った時、彼の永瀬を気にかけるような目つきや口ぶりを見ると、十影は寺島たち家族の課題に向き合い続ける永瀬と月下の様子がなんとなく気になっていたのだと思う。

 永瀬が寺島の息子・直也(松本怜生)に「使用貸借契約」について伝えたことで、家の売却は打ち切られた。直也から礼を言われる永瀬を十影はじっと見ていた。無気力な顔つきにも見えるが、尊敬の念とまではいかないまでも、自分にはない価値観で動く永瀬に関心が向いたのではないだろうか。

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