『ダンジョン飯』と『孤独のグルメ』に共通点? 極限状態だから味わえる“食の楽しさ”

ハイテンポなうんちく&愛情披露

 ユニークな食材を使った調理の前後にも、本作の魅力は存在している。それが、周囲が引くほどの魔物オタク・ライオスをはじめとする個性豊かな人物が展開するハイテンポな語りと食レポだ。

 ダンジョン飯のこうした魅力は、20年以上にわたって支持されているグルメ作品『孤独のグルメ』(テレビ東京系)とも共通する要素といえる。

 『孤独のグルメ』が人気を博す理由として大きいのは、主人公の井之頭五郎(松重豊)が披露するコミカルな回想だろう。

 「美人2人に挟まれているよう」と言いながらどちらの飲食店に行くか迷ったり、「よーし」「うぉー」と感動しながら食事を味わったり……。

 大衆食堂での食事を好む五郎と、魔物オタクとして彼らを食べるライオスは、食事に対する愛情の観点で見れば非常に似通った人物なのではないだろうか。

 リアルなグルメ作品として本作を扱う場合、ライオスが五郎ほど食に詳しくないのが懸念点だが、そこは料理番のセンシが上手くカバーしている。

 ダンジョン飯は、センシに食材や調理法の説明を、ライオスに食へのワクワク感を示させることで、コミカルな語りと役立つ(?)うんちくを楽しめる作品となっているのだ。

 また、『孤独のグルメ』で料理が出てきた際のBGMと、本作でセンシが料理を披露する際のBGMからは、どちらも非常に軽快で楽しそうな雰囲気が感じられる。

 『孤独のグルメ』はギター中心、ダンジョン飯は管楽器中心といった違いはあるが、どちらのBGMも「食の楽しさ」を視聴者に伝えるために用意された曲なのだろう。

 『モンスターハンター』や『ゼルダの伝説』、『孤独のグルメ』といった多くの作品の魅力がつまっていた『ダンジョン飯』。まさに、名作RPGやグルメドラマの“いいとこ取り”によって生まれた作品といえるのではないだろうか。

 作中で紹介されるのは私たちの日常とはかけ離れた空間の食事だが、観ていると無性にカップ麺やタルトが食べたくなってくる。第1話でだいぶ食欲に負けそうになったので、次からは冷蔵庫に食べ物を置かずに視聴しようと思う。

■公開・放送情報
『ダンジョン飯』
TOKYO MXほか全国28局にて、連続2クール放送中
Netflixほか各配信サイトにて、地上波同時配信
キャスト:熊谷健太郎、千本木彩花、泊明日菜、中博史、早見沙織、三木晶、川田紳司、加藤渉、高橋李依、富田美憂、奈良徹、広瀬裕也、河村螢、小林ゆう
原作:九井諒子
監督:宮島善博
シリーズ構成:うえのきみこ
キャラクターデザイン:竹田直樹
モンスターデザイン:金子雄人
コンセプトアート:嶋田清香
料理デザイン:もみじ真魚
副監督:佐竹秀幸
美術監督:西口早智子、錦見佑亮(インスパイア―ド)
美術監修:増山修(インスパイア―ド)
色彩設計:武田仁基
撮影監督:志良堂勝規(グラフィニカ)
編集:吉武将人
音楽:光田康典
音楽制作:KADOKAWA
音響監督:吉田光平
音響効果:小山健二(サウンドボックス)
録音調整:八巻大樹(クラングクラン)
アニメーションプロデューサー:志太駿介
アニメーション制作:TRIGGER
製作:「ダンジョン飯」製作委員会
オープニング主題歌 「Sleep Walking Orchestra」 BUMP OF CHICKEN(TOY'S FACTORY)
エンディング主題歌 「Party!!」 緑黄色社会(Sony Music Labels)
©九井諒子・KADOKAWA 刊/「ダンジョン飯」製作委員会
公式サイト:https://delicious-in-dungeon.com
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/dun_meshi_anime

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