『光る君へ』国仲涼子演じるちやはに衝撃展開 子役・落井実結子の演技に魅了される

 まひろたち家族の慎ましくも幸せな暮らしの終わりは突然訪れた。三郎(木村皐誠)との約束を守ろうと道を急いだまひろが馬の前に飛び出したことで、三郎の兄・道兼(玉置玲央)が落馬してしまう。ちやはは道兼に蹴飛ばされたまひろをかばうと、「何をなさるのです! 小さな子供ではございませぬか」と諫める。道兼は一度は引き下がったものの、従者の一言でたちまち逆上し、従者の太刀を抜くとちやはの背中を突き刺した。献身的な愛で家族を包み込んでいたちやはの最期はあまりにも残酷なものだった。

 第1回で深く心に残ったのは、ちやはの最期だけではない。幼きまひろを演じる落井実結子の演技にも魅了された。まひろの好奇心旺盛さは、落井のはつらつとした表情から感じられる。為時が太郎に漢籍を読み聞かせるのを聞いているうちに、自然と誦じるようになる場面では、心の底から楽しんでいるように見えた。まひろは感受性も豊かだ。まひろがちやはを心配するのは、琵琶を弾かなくなったなどの変化を通じて、ちやはの苦労を感じ取ったからだろう。台詞や演出からも、まひろの強い感受性が読み取れるが、何よりまひろを演じている落井の、あらゆるものを感じ取るような澄んだまなざしに、強い芯を感じ、ハッとさせられる。

 三郎と出会ったまひろのふわふわとした、捉えどころのない佇まいにも魅了される。頭の中で空想が広がり、自分を「姫」と偽って作り話を続けていた時のまひろはどこか大人びている。かと思えば、三郎に繰り返し「バカ」と言ったり、嘘をついたことを怒らない三郎に「三郎はおかしな子ね」と言ったりする姿には、とりとめもない子供らしい純粋無垢な様子も感じられ、なんとも言葉にしがたい魅力があった。

 物語の終わり、為時から母・ちやはの死因を隠すように言われ、まひろは狂ったように泣き叫ぶ。悲痛な声をあげ、全身から深い悲しみと、理不尽さへの憤りをあらわにする落井の演技は壮絶なものだった。父の手を振り解き、やり場のない怒りと悲しみをぶつけるまひろは、父に抱き抱えられても泣き叫ぶことをやめなかった。落井の演技にグッと心が惹きつけられる中、第1回は幕を閉じた。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

関連記事