朝ドラ『ブギウギ』を盛り上げる吉本芸人たち メッセンジャー 黒田有の変化にも注目

朝ドラ『ブギウギ』を盛り上げる吉本芸人たち

「単刀直入に申し上げる。うちのボンをたぶらかすのやめていただきたい」

 太平洋戦争が始まり、敵性歌手の烙印を押されながらも、自身が抱える楽団のメンバーと地方を巡って歌を届けるヒロインのスズ子(趣里)に恋の予感。『ブギウギ』(NHK総合)第11週では、スズ子の“最愛の人”と謳われる村山愛助(水上恒司)が登場し、2人は急速に距離を縮めていく。そこに水を差してくるのが、黒田有(メッセンジャー)演じる坂口だ。

 9つの年齢差に加え、2人の恋を阻むのは愛助が日本有数の演芸会社「村山興業」の御曹司という事実。村山興業の東京支社の社長である黒田の目には、スズ子が大事な跡継ぎである愛助をもて遊んでいるように見えたのだった。

 村山興業は皆さんご存知、現在の「吉本興業」がモデルと思われる。吉本興業は1912年に、愛助の母・トミ(小雪)や、2017年度後期のNHK連続テレビ小説『わろてんか』のヒロイン・てん(葵わかな)のモチーフにもなった吉本せいとその夫・吉兵衛によって創業された。1軒の寄席小屋から始まり、昭和初期には落語家の柳家金語楼や漫才の礎を築いた花菱アチャコ・横山エンタツらが大活躍。彼らは戦時中、「わらわし隊」として中国大陸に派遣された兵士を慰問した。

 戦禍で劇場の大半を失うもそこから立ち上がり、創業110周年を迎えた現在まで数多くのスターを輩出してきた吉本興業。今も膨大な数のお笑い芸人を抱えているが、その中の数人が役者として『ブギウギ』にも出演している。

 例えば、スズ子の実家・銭湯「はな湯」の常連客の一人、易者(占い師)を演じるなだぎ武。現在はピン芸人として活動するなだぎだが、2015年までは浅越ゴエやヤナギブソンらと共にお笑いグループ「ザ・プラン9」のメンバーとして活躍した。かつては、なだぎ演じるディランと友近演じるキャサリンによる『ビバリーヒルズ高校白書』のパロディーネタが大ブレイクしたことも。なだぎの「え、そこ!?」と思うような目の付け所がシャープで、かつ細部まで神経が行き届いた細やかなボケに人は笑わされる。本作でも台詞はさほど多くはないが、アドリブにも思えるちょっとした易者の言葉や他の常連客とのかけ合いにふふっとさせられた。

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