伏黒は“救う者”に対して異なるスタンスを、釘崎は“罪悪感”へのスタンスを説いた。高専の生徒は、高校生である前に呪術師として生きているため達観しているものの、本当はまだ未成年の子供だ。“一年ズ”のみならず京都校の生徒にも言えることだが、彼らは唯一分かり合える存在としてだけでなく、16歳でいられる互いのセーフスペースになっているように思う。

　男の子の主人公がヒロインのポジションにいるキャラクターのことを良いなと思ったり、そこで恋が始まったりする展開はよく漫画やアニメで描かれてきたが、虎杖と釘崎の間柄はそうではない。恋を超えた、もっと人間的に深い繋がりを、伏黒を含め3人は持っているのだ。

 

　虎杖にとってそれほど大事な釘崎が、目の前で倒れた。伏黒が仮死状態だったことを知らないでいて“まだ”良かったとさえ思ってしまう、この状況。16歳の虎杖の心は、彼を16歳でいさせてくれていた存在……七海と釘崎を失うことで壊れかけている。何より、虎杖が本来メンタルも強く、いろいろな場を間の抜けたジョークでほぐしてきたキャラクターだからこそ、この展開の悲壮感が引き立つのだ。いま、こんな絶望的な状態で虎杖を鼓舞してくれるような人物は、もう“あの男”しかいないのかもしれない。

■放送情報
TVアニメ『呪術廻戦』第2期
MBS／TBS系にて、毎週木曜23:56～放送
キャスト：榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、中村悠一、島﨑信長、櫻井孝宏、諏訪部順一、三瓶由布子
原作：『呪術廻戦』芥見下々（集英社『週刊少年ジャンプ』連載）
監督：御所園翔太
シリーズ構成・脚本：瀬古浩司
キャラクターデザイン：平松禎史、小磯沙矢香
副監督：愛敬亮太
美術監督：東潤一
色彩設計：松島英子
CGIプロデューサー：淡輪雄介
3DCGディレクター：石川大輔（モンスターズエッグ）
撮影監督：伊藤哲平
編集：柳圭介
音楽：照井順政
音響監督：えびなやすのり
音響制作：dugout
制作：MAPPA
「渋谷事変」オープニングテーマ：King Gnu「SPECIALZ」（Sony Music Labels）
「渋谷事変」エンディングテーマ：羊文学「more than words」（F.C.L.S.／Sony Music Labels）
©芥見下々／集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト：https://jujutsukaisen.jp