『ニューヨーク・オールド・アパートメント』予告編 YOU、土屋アンナらの絶賛コメントも

『ニューヨーク・オールド~』予告編公開

 2024年1月12日に公開される映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』の予告編が公開された。

 本作は、ユダヤ人移民の家族で育ち、母親が強制収容所アウシュヴィッツの生存者だったオランダ人作家アーノン・グランバーグの小説『De heilige Antonio』をもとに、アメリカが抱える移民問題を背景に親子の絆をリアルに描いた物語。短編『ボン・ボヤージュ』が世界各国の42の賞を受賞したマーク・ウィルキンスが監督を務めた。

 安定した生活を夢見て、祖国ペルーを捨てNYで不法移民として暮らすデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら2人の息子を女手一つで育て、息子たちも配達員として家計を支えるギリギリの毎日。街から疎外された自分を“透明人間”だと憂う2人の息子はある日、謎を秘めた美しい女性クリスティンと出会い、恋に落ちる。一方、ラファエラも白人男性からの耳触りのいい話に誘われ飲食店を開業するのだが……。

 息子役を演じるのは、南米ペルーのオーディションで選ばれたアドリアーノ・デュランとマルチェロ・デュラン。アドリアーノとマルチェロは、ロックバンド「LOS MORDOS」で活躍している本当の双子で、本作が映画デビュー作となる。

 反骨精神を持つ移民の母・ラファエラ役を、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた『悲しみのミルク』などで知られるマガリ・ソリエル、ミステリアスな美女クリスティン役を若手女優のタラ・サラーがそれぞれ演じ、サイモン・ケザーらが脇を固める。

映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』予告映像

 公開された予告編では、ペルーからニューヨークへと移り不法移民として暮らすデュラン一家が、大都市ニューヨークで居場所もなく肩身の狭い生活を送る様子が切り取られている。息子のティトが自転車でフード配達中に車に衝突され、転んでケガを負うが、訴えることもできずに仕方なく謝る姿や、ウェイトレスとして働く母のラファエラ(マガリ・ソリエル)が、店主に独立して店を始めると話すと、「英語もろくに話せないくせに。冗談だろ」と鼻で笑われてしまう姿も。息子たちが謎を秘めた美女クリスティン(タラ・サラー)に恋をし、母は働く店の客で、新たに始める店に投資を持ちかけてきた白人男性のエドワルドにそれぞれ恋をする様子も。また、予告編では、タレントのYOU、映画監督の西川美和、モデル・シンガーアーティストの土屋アンナから寄せられたコメントの一部も確認することができる。

コメント

YOU(タレント)

幸せを掴もうとするたびに
彼らは伸ばした手を振り解かれ 身体中傷だらけだけれど
その瞳には力が宿り 大切な者を捕らえて決して離さなかった。
私たちはあんな目をしていますか?
私たちは幸せなんでしょうか?

土屋アンナ(モデル、シンガーアーティスト)

不法滞在・差別・強制送還への不安な毎日
描いていたAmerican Dreamとはあまりにもかけ離れたNewYorkの現実の中で、
それでも夢を追いかけて生きて行こうとする二人の兄弟とその母親
これがこの時代で起きている事の不条理さに怒りと悲しみで心が痛みます
その中でも親子の絆と深い愛情に救われます

サヘル・ローズ(俳優、タレント)

大都会NY、希望を抱く人々。
だが、現実は残酷の斧を振り翳し、人権を破壊する。
笑顔の裏側で泣く2人の道化師がした2人の女性。
ここにいるのにここにいない感覚に蝕まれていく心はいつしか透明人間と化した。
現代社会そのものの写し鏡だ。

西川美和(映画監督)

移民を扱った映画は重苦しく、腰が引ける人が多いと思うが、
この作品のキャラクターたちは親しみやすく、物語も掴みやすい。
子供たちが観てもいい作品だと思う。
私は、主人公一家が「ママの味のブリトー屋」を営むことに疑問を抱いていなかった。
でも彼らはメキシコ人ではないし、ブリトーなんて馴染みもない。
彼らが沈黙のまま受け入れている数々のことを、私もまたきっとたくさん見逃しているのだろう。何とか居場所を保とうと、柔和に微笑みながら粛々と暮らす
「どこかから来た人」が私たちの周辺にもたくさんいる。
彼らが、隅の方で国の言葉でこっそり囁き合っている言葉を、耳を澄まして聞けるような映画だと思う。

■公開情報
『ニューヨーク・オールド・アパートメント』
2024年1月12日(金)、新宿シネマカリテほか全国公開
監督:マーク・ウィルキンス
脚本:ラ二・レイン・フェルタム
原作:「De heilige Antonio」(アーノン・グランバーグ)
出演:マガリ・ソリエル、アドリアーノ・デュラン、マルチェロ・デュラン、タラ・サラー、サイモン・ケザー
日本版テーマ曲:THE ティバ「winnie」
2020年/スイス/英語、スペイン語/98分/ビスタ/5.1ch/原題:The Saint Of The Impossible
配給:百道浜ピクチャーズ
©2020 - Dschoint Ventschr Filmproduktion / SRF Schweizer Radio und Fernsehen / blue 

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