『プリンセスと魔法のキス』ディズニー初の要素が盛りだくさん 物語を彩るジャズにも注目

初要素満載の『プリンセスと魔法のキス』

 ディズニー100周年を記念して、11月17日から4週連続でリクエスト作品を放送している『金曜ロードショー』(日本テレビ系)。3週目の12月1日に放送されるのは、2009年に公開された『プリンセスと魔法のキス』だ。ディズニーらしい魔法あふれる物語である本作は、一方でディズニー初の要素も盛りだくさんで話題になった。

 ニューオーリンズに住むティアナは、亡き父との夢であるレストランをオープンするために、仕事を掛け持ちして貯金をしていた。しかしあるとき、彼女はブードゥーの魔術師ドクター・ファシリエによってカエルにされてしまったナヴィーン王子に出会う。仮装パーティでプリンセスの衣装を着たティアナを本物のプリンセスだと思い込んだ彼は、人間に戻るために彼女にキスをしてもらうが、このキスでティアナもまたカエルになってしまった。2人はワニのルイスやホタルのレイと出会い、それぞれの夢を抱く彼らと協力しながら、人間に戻る方法を探す旅に出る。

“ディズニー初”満載のプリンセス、ティアナ

 これまで『ポカホンタス』や『ムーラン』などの数少ない例外を除けば、ディズニープリンセスは主にヨーロッパに住んでいた。ティアナは、ディズニー初の黒人プリンセスであると同時に、ディズニー初のアメリカ人プリンセスでもある。また彼女は、ディズニープリンセスで初めて職業を持ったキャラクターだ。「働いてお金を貯め、自分のレストランをオープンする」という現実的な夢のために、彼女は努力を惜しまない。本作の時代設定は1910年から1920年代半ばとされており、女性が自立して働くことに対する周囲の否定的な反応も描かれているが、ティアナはそんな状況にも屈せず、夢に向かって邁進していく。脇目も振らずに働く彼女を見ると、応援したくなると同時に無理はしないでほしいと思えてくる。自分に似たものを感じ、親近感を抱く人もいるだろう。ティアナのように、もっと努力しなければいけないと感じる人もいるかもしれない。ティアナはそんな現実にも存在しそうな、“がんばり屋の少女”なのだ。

 しかし彼女に託されているのは、「夢を叶えるには努力が必要」というメッセージだけではない。本作では夢に向かって努力をつづけながらも、周囲の人々と愛を育んでいくことの大切さが描かれている。ティアナはレストランの開業資金を稼ぐために、仕事以外のことはすべて後回しで、友人付き合いもほとんどしない。そんな彼女だったが、カエルになってしまったことで否応なしに自分の夢と自分自身に深く向き合うことになる。

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