『ブギウギ』柳葉敏郎がすっかり“ダメ親父”の有様に “三尺四方”に窮するスズ子と辛島たち
そのことで大きな打撃を食らうのが、派手な化粧で歌って踊るスタイルが世間に定着しつつあるスズ子だ。楽団を監督することになった丸の内署の警察官は、スズ子にトレードマークのまつげを外し、“三尺四方”の枠からはみ出さずに歌うことを強要。すると、「いずれそっぽ向かれちゃうよ」という羽鳥(草彅剛)の不安は的中し、公演中もつまらなさそうにしている観客の姿が目立つようになる。居てもたってもいられなくなったスズ子は、思わず枠からはみ出したことで警察に連行されてしまうのだった。
取調室で警察に反抗しては、何度も連行されているというりつ子(菊地凛子)とすれ違うスズ子。果敢にも「着飾って何が悪い!」と警察官に怒号を飛ばすりつ子が、スズ子には羨ましく感じられたのではないか。本当はスズ子だって警察の言いつけに従いたくなどない。かつて善一に言われた通り、スズ子は私生活での嬉しいことも辛いことも歌や踊りに昇華してきた。本来ならば、梅吉があんな状態の時だからこそ、パフォーマンスにぶつけたい気持ちがあるはずなのに。公演が停止されてしまえば、楽団のメンバーにも迷惑をかけてしまうのでそれも叶わない。身も心もまさに三尺四方に囲まれてしまっている。
しかし、比べるつもりは毛頭ないが、苦しい状況にいるのは他の人たちも同じだ。自分の楽団を抱えているりつ子にも、UGDの制作部長である辛島(安井順平)にも守るべきものがある。警察の指導に従うか従わないかで違いはあるものの、どちらも死守したいのは楽団員が活躍する場であることに変わりはない。こんな時だからこそ、公演が途中で中止になり、謝罪に追われる辛島に「あんたらも大変だな」と声をかけた観客の優しさが胸に沁みる。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK