『どうする家康』作間龍斗×森崎ウィンが放った正反対の輝き 懐かしい“プリンス”の登場も

『どうする家康』“プリンス”たちの輝き

 秀頼と秀忠という二人のプリンスが描かれた第45回だが、今川義元(野村萬斎)のもとで育った家康と今川氏真(溝端淳平)もまた“二人のプリンス”といえよう。天下を取るために弱さを捨てた家康の心は憔悴しきっていた。そんな家康と氏真のやりとりには心打たれるものがあった。

 穏やかに言葉を交わす家康と氏真だが、「戦なき世を作り、王道の治世をなしてくれ」という氏真の言葉に、家康は目を背けながら「わしには……無理かもしれん」と呟く。「お主は見違えるほど成長した。立派になった」と讃える氏真を遮り、家康は淡々とした口調でこう言う。

「平気で人を殺せるようになっただけじゃ」

 平然とした口ぶりに切なさを覚える。「戦なき世など来ると思うか?」「一つ戦が終わっても……新たな戦を求め、集まる者がいる。戦はなくならん」そう呟く家康の目に涙が溜まる。終わらぬ戦への絶望が立ちこめ、家康は失意の底へと沈んでいく。そんな家康を氏真はグッと抱きしめると、優しく語りかけた。

どうする家康第45回

「弱音を吐きたい時はこの兄が全て聞いてやる。そのために来た。お主に助けられた命もあることを忘れるな」

 戦なき世を目指す中で家康は何人もの大切な人を失ったが、救った命もある。氏真の言葉を受け、家康の目から涙が溢れる。しかし弱さを捨ててしまったゆえか、家康の顔はこわばったままだった。

 物語の終わり、豊臣が大仏を再建した方広寺の鐘に刻まれた文言により、戦が避けられない状況になった。「とうとう……戦か」と呟いた家康は、押し寄せるさまざまな感情を落ち着かせるように深く呼吸をすると、静かに目を開く。秀忠の世に憂いを残さぬためにも、家康にはまだやることがある。そのまなざしは冷静ながらも、威厳を感じさせ、畏怖の念を起こさせるものだった。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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