前作以上の困難に挑んだ『毒戦 BELIEVER 2』 敢闘賞は“メガネ姿のヤクザ”ハン・ヒョジュ

 とはいえ、頑張りの痕跡も確認はできる。敢闘賞は、間違いなく新キャラを演じたハン・ヒョジュだろう。ビッグナイフの異名をとる武闘派女ヤクザを熱演しており、異様にデカいおじさんメガネ姿で人を殺しまわるのは素晴らしいものがあった。本年度“最優秀メガネっ子”は彼女に進呈したい。

 観ているあいだには、一応あれこれ話は進むので退屈はしない。しかし、観終わったあとには、『こち亀』(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)の80~90巻くらいの両津さんが渋い顔でそうするように、「う~む、微妙だな」と呟かざるを得ない。特に前作の余韻を大事にしたい人には、あまりオススメもできないのが正直なところだ。

 ただし、粗暴でクレイジーでヤキモチ焼きのメガネっ子という、あまり見かけないタイプのキャラが出てくる点と、無謀な企画に挑んだ姿勢は「その意気やよし!」と評価したい。それこそ香港映画だって、死んだ主役級のキャラが双子という形で復活した奇跡の傑作『男たちの挽歌 II』(1989年)や、完璧に終わった映画の完璧な前日譚『インファナル・アフェアII 無間序曲』(2003年)といった、無謀とも言える続編に挑み、これらを前作と並ぶかそれ以上の傑作にし仕上げてきた作品を生み出してきた。もちろん、とにかくやってみるという姿勢は粗製濫造と紙一重ではある。しかし無茶な企画で多くの屍を築くことで、ジャンル全体のレベルが底上げされること、そして屍のうえに輝くような傑作が生まれることも事実だ。織田裕二の昔の映画でも「挑まなければ始まらない」と言っていた。なので本作『毒戦 BELIEVER 2』のような無鉄砲な姿勢を、わたくし加藤よしきは応援しています。

■配信情報
『毒戦 BELIEVER 2』
Netflixにて独占配信中

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