『ブギウギ』スズ子と松永の恋は実らず終わる? 近年の朝ドラヒロインの恋を振り返る
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第7週のタイトルは「義理と恋とワテ」。ヒロインのスズ子(趣里)が思いを寄せる松永(新納慎也)に梅丸から日宝への移籍話を持ちかけられ、義理と恋との間で揺れ動く姿が描かれている。
幼い頃は友達が身近な同級生を好きになる中、教科書に載っているペリーに憧れていたスズ子。そんな彼女が初めて好きになった相手は、「半分外国人みたい」な演出家の松永だった。
財閥の御曹司で海外留学経験もある松永は気品あふれる紳士。話し方も振る舞いもどことなく西洋風だ。『エール』の山崎育三郎や古川雄大にしろ、『らんまん』の伊礼彼方にしろ、ミュージカル俳優が朝ドラで演じる役柄は総じてキャラが立っていて面白い。一方で、松永はクセは強めだが、どんな時でも穏やかで周りへの気配りもできるのでスズ子が好きになるのも理解できる。加えて、自分の才能を誰よりも買ってくれている松永に心奪われないわけがないだろう。
しかし、「ヒロインの初恋は実らない」が朝ドラのセオリー。現実世界でも初恋を実らせた人のほうが圧倒的に少数であり、交際に至っても時間とともに互いの環境が変化し、生き方や価値観にもすれ違いが生じて破局するパターンが多い。特に近年の朝ドラは後者のパターンが多いように感じる。
『カムカム』五十嵐が身も心も“落ち武者”に 暗闇の中では眩しすぎたひなたの笑顔
「人を好きになるやなんて、あほやからやと思います。傷ついたり傷つけられたりしながら、人を好きになるんやから」 『カムカムエヴ…
例えば、2021年度後期『カムカムエヴリバディ』の3代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)は就職先の条映太秦映画村で出会った大部屋俳優の五十嵐(本郷奏多)と交際をスタート。
もともとは犬猿の仲だった2人が交際を始めた途端、素直になって恋を謳歌している姿は観ていてとても微笑ましかった。そんな2人が破局に至ったのは五十嵐が夢を諦めたことがきっかけ。「ひなたの道を歩けば、きっと人生は輝く」という母親の言葉を実践してきたひなたが「ひなたの放つ光が俺には眩しすぎる」と五十嵐にフラれるという悲しい展開に少なからず視聴者もショックを受けたことだろう。ひなたの“本当の初恋”とも言うべき少年ビリーとの再会が終盤に訪れたのも印象深い。