高橋文哉、日向亘、前田拳太郎ら、秋ドラマで活躍する“仮面ライダー俳優”たち

 2023年秋ドラマでは一段と“仮面ライダー俳優”の躍進が凄まじい。

 『フェルマーの料理』(TBS系)では、『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)から俳優としてのキャリアをスタートした高橋文哉が、『烈車戦隊トッキュウジャー』(テレビ朝日系)出身の志尊淳と、ある意味師弟のようでもあり相棒のような関係性を築いている。

『フェルマーの料理』©TBS

 天才数学少年ながら自身の才能の限界が見えてしまった岳(高橋文哉)は、二つ星レストラン「K」のオーナーシェフで若き料理界のカリスマ・朝倉海(志尊淳)に、その消化不良に燻り続ける数学への敗北感とそこで鍛えられた思考の吐き口を与えてもらう。初めて数学よりも夢中になれるものを見せてくれた海のおかげで、岳は水を得た魚のように輝き始める。すべてがまっさらでスポンジのような吸収力を持つ岳の柔軟さや素直さ、初々しさを高橋が好演している。対して、志尊演じる海は岳のこの才能を利用して何か企んでいることがあるようで、何やら気になる不思議な人脈も持っておりプライベートは謎に包まれている。なんだか大きなものに飲み込まれ足元をすくわれてしまいかねない危うさがありつつも、それを上手く乗りこなし続けている海は完全無敵に見える。そんな現実離れした存在も、志尊が演じると一切の生活臭がなく説得力が宿る。

【動画】日向亘と大倉空人が10代の思い出を語る 『君となら恋をしてみても』インタビュー

MBSドラマ特区枠にて放送されている連続ドラマ『君となら恋をしてみても』でW主演を務めている日向亘と大倉空人が、リアルサウンド映…

 全5話ながらも多くの視聴者を虜にしたのは、『君となら恋をしてみても』(MBS/以下『なら恋』)で主演を務めた日向亘だ。『仮面ライダーリバイス』(テレビ朝日系)に出演していた日向は、『なら恋』では誰に対しても分け隔てなく世話好きで真っ直ぐな高校生・山菅龍司役を熱演。江ノ島での日常の中で龍司が転校生の海堂天(大倉空人)と惹かれ合っていく様子を丁寧に紡ぎ、自然の移ろいかのように見せてくれた。龍司の眼差しからは誰のこともどんなことも拒絶することなく一旦耳を貸してみよう、受け入れてみようとするそもそもの人としての豊穣な素地が滲み、彼が眼差せばそこがもう日向になるような温かさと安心感が終始あった。日向は『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)にも出演中で、愛嬌たっぷりなパラリーガル・岩渕亮平役を好演している。 

『トクメイ!警視庁特別会計係』©︎カンテレ

 同じく『仮面ライダーリバイス』で主演を務めた前田拳太郎は、『君には届かない。』(TBS系)にて、主人公の成績優秀で女子の憧れの的となる男子高校生・ヤマト役を好演中だ。幼なじみのカケル(柏木悠)にずっと密かに想いを寄せ続けていたヤマトの一方通行な好意を、前田のあの力強い目力がよく物語っていた。そして嘘偽りないその想いをカケルに伝えようと向き合い真っ直ぐ捉えるとその切実さや本気度が一気に溢れ出す。押し殺していたけれど隠しきれない想いがひしひしと伝わってくる。また、前田は『トクメイ!警視庁特別会計係』(カンテレ・フジテレビ系)にて、ちょっぴり頭でっかちな新人刑事・月村久役を演じており、自身の殻を破り切れずジレンマを抱える変身一歩手前の初々しさや青臭さも滲ませている。

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