『薬屋のひとりごと』は「なろう系」集大成? チート展開でも猫猫を応援したくなる理由

“オタクの逆襲”

『薬屋のひとりごと』第4話「恫喝」予告

 猫猫は薬オタクであり、あらゆる毒物を自分の体で試す変態気質の少女だ。しかし、このオタク性こそが本作で猫猫が活躍する所以であり、彼女の知識によって多くの人が救われる。

 薬に限らなければ、アイドルや歌手、アニメなど何らかのジャンルにはまる“オタク”は現代人にも多い。自分の好きを追求して周囲を助ける猫猫の姿に、「自分も誰かの役に立てるかもしれない」といった希望を感じることだろう。

 オタクが力を発揮する「なろう系」作品の代表格は、TVアニメが第4期まで放送、劇場版の制作も発表されている『オーバーロード』である。

 本作はオンラインRPG「ユグドラシル」内の最強ギルドの長・モモンガとしてゲームを遊んでいたプレーヤーが、ゲームの世界から出られなくなる場面から始まる作品。

 「ユグドラシル」を極めてラスボス的な地位に君臨したモモンガは、猫猫とある意味で同じ熱狂的なゲームオタクなのだろう。

 しかし、『オーバーロード』には主人公が自分の利益のために誰かの命を奪う残酷なシーンがある一方で、一目でわかるように、猫猫にそのような残虐性はみられない。

 命を奪うまではせずとも、「オタクこそが強い!」と誇示する目的であれば多少は相手を打ち負かす演出があってもよさそうなもの。それでも、他人が犠牲になるシーンを含めずに主人公の活躍を描くこだわりに近い配慮こそが、『薬屋のひとりごと』の魅力なのである。

 これまでの「なろう系」作品の良さを取り入れつつ、主人公の猫猫をより優しく、善の人物として描いた『薬屋のひとりごと』。ラブコメや推理ものとしてカテゴライズされることが多い本作には、猫猫の人物ドラマとしての魅力もあるのかもしれない。

参照

https://ncode.syosetu.com/n9636x/
https://ncode.syosetu.com/n4830bu/
https://ncode.syosetu.com/n4402bd/
https://booklove-anime.jp/
https://tobooks.shop-pro.jp/?mode=grp&gid=2039370&sort=n

■放送情報
『薬屋のひとりごと』
日本テレビ系にて、毎週土曜24:55〜放送
各種配信プラットフォームにて、放送終了後順次配信
キャスト:悠木碧、大塚剛央、小西克幸、種﨑敦美、石川由依、木野日菜、甲斐田裕子、潘めぐみ、小清水亜美、七海ひろき、斉藤貴美子、家中宏、赤羽根健治、久野美咲、かぬか光明
ナレーション:島本須美
原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊)
キャラクター原案:しのとうこ
監督・シリーズ構成:長沼範裕
副監督:筆坂明規
キャラクターデザイン:中谷友紀子
色彩設計:相田美里
美術監督:髙尾克己
CGIディレクター:永井有
撮影監督:石黒瑠美
編集:今井大介
音響監督:はたしょう二
音楽:神前暁、Kevin Penkin、桶狭間ありさ
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO、OLM
製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
公式サイト:kusuriyanohitorigoto.jp
公式X(旧Twitter):@kusuriya_PR

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