『無人島のディーバ』パク・ウンビンの歌唱力に驚き ウ・ヨンウから新たなヒロインへ

 10月28日からNetflixで配信中の『無人島のディーバ』。2022年にシンドロームを巻き起こした『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で主演を務めたパク・ウンビンの待望の最新作として、注目度の高い新ドラマだ。

 主人公は、全羅道の離島チュンサム島で暮らす16歳の少女、ソ・モクハ(イ・レ/パク・ウンビン)。大人気歌手ユン・ランジュ(キム・ヒョジン)の大ファンで、自身も歌姫になることを夢見ていた。オーディションを受けるために家出をしてソウルに向かうが、途中で不運な事故に遭い、無人島に漂流してしまう。ところが強靭な精神力で15年間の歳月を生き抜き、奇跡的に発見されたモクハは再び夢を目指すことになる。そう、これは無人島でサバイバルする少女の話ではない。15年も別世界に暮らし、時間が止まっていた16歳のモクハが、31歳になってもう一度夢に向かって道を切り拓いていく物語なのだ。

 『ホテルデルーナ〜月明かりの恋人〜』(2019年)、『ビッグマウス』(2022年)などの演出を担当したオ・チュンファン、『君の声が聞こえる』(2013年)、『ピノキオ』(2014〜2015年)などの数々の名作を生み出してきた脚本家パク・へリョンは、『あなたが眠っている間に』(2017年)、『スタートアップ:夢の扉』(2020年)に続いて本作で3度目のタッグを組む。俳優や脚本、演出と全てにおいて期待せずにはいられない要素が満載である。

 第1話と第2話では、16歳のモクハがメインに描かれた。同じ傷を抱えていたクラスメイトのチョン・ギホ(ムン・ウジン)と一緒に島から逃げ出すことになった理由は目を伏せたくなるほど辛いものであるが、2人の関係性や背景が丁寧に写し出され、一気に心を掴まれてしまった視聴者も多いだろう。子役から大活躍するイ・レとムン・ウジンは、物語の重要な始まりをしっかりと固め、31歳になった自分たちにバトンを渡した。

 本作の見どころは、やはりパク・ウンビンの演じるソ・モクハのキャラクターだ。全羅道の方言はインパクトがあり、見た目は31歳でも中身は16歳の純粋さがそのまま残っている。なかでも驚きなのがパク・ウンビンの歌唱力。できないことがないと言われる女優ではあることは分かっていても、毎度ながら徹底した見事な役作りに圧倒される。本人の思いや向き合い方が伝わり、彼女が演じる役柄にどっぷりと感情移入してしまうのだ。15年間、無人島で生き延びたのはファンタジーかもしれない。しかし孤独に耐えてきた時間、報われる日が訪れること、そう信じたい気持ちには共感してしまうし、経験のある人も多いはずだ。私たちは自分の人生を諦めずに突き進むモクハを応援したくなり、きっとモクハに背中を押されるだろう。

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