『フェルマーの料理』高橋文哉が辿り着いた“最高の賄い” 志尊淳のギャップから目が離せない

 しかし、ここでノコノコと勝負から降りる岳ではない。魚見(白石聖) のお弁当から「ノスタルジー」というヒントを得たことで、海いわく「日本の肉じゃがのポテンシャルを最大限まで引き上げて、世界水準の料理に仕上げた肉じゃが」でリベンジを果たす。見た目の高級感はレストラン「K」らしさもあり、奇抜なアイデアと確かな味で、“賄いトライアル”を無事に突破した。法則を見つけることで、皆の動きを先回りする戦法には流石にくすっと笑ってしまったのだが、“岳らしさ”ともいえるネタっぽい要素も本作の愛らしいところだ。

「僕は自分のことを見ていなかったんです」

 「長所と短所は表裏一体」とはよく言われるが、結局のところ、自分がどう物事を捉えるかで開かれる道は変わってくる。「数学しかやってこなかったから、ダメなんだ僕は」とため息をついていた岳の言葉は、「僕には数学がある」に変わっていった。本当の意味で何でもできる人など、この世には存在しない。それでも、自分が今持っているものにちゃんと目を向ければ、目先の課題や困難くらいはなんとかできるのではないか。そんな岳の言葉の中に満ちている希望に、そっと背中を押してもらった気がした。

 ようやく皆からの信頼を手に入れた岳だが、物語の終わりは意外にも不穏な雰囲気だった。映し出されたのは、2024年のレストラン「K」のとある風景だ。理由はわからないが、海の姿が見当たらない。そして何より、人が変わってしまったことを孫六に指摘され、掴み合いになっている男を、岳だと信じたくなかった。一体、未来のレストラン「K」では、何が起こっているのだろうか。黒のコックコートが彼の心まで染め上げてしまった理由を、早く知りたいところだ。

■放送・配信情報
金曜ドラマ『フェルマーの料理』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
U-NEXTにて、各話の初回放送直後配信
Netflixにて、配信中
出演:高橋文哉、志尊淳、小芝風花、板垣李光人、白石聖、細田善彦、久保田紗友、及川光博、宮澤エマ、細田佳央太、宇梶剛士、高橋光臣、仲村トオル
原作:小林有吾『フェルマーの料理』(講談社『月刊少年マガジン』連載)
脚本:渡辺雄介、三浦希紗
プロデューサー:中西真央
演出:石井康晴、平野俊一、大内舞子
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fermat_tbs2023/
公式X(旧Twitter):@Fermat_tbs
公式Instagram:fermat_tbs
公式TikTok:@fermat_tbs

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