高橋文哉×志尊淳の最強タッグが誕生 『フェルマーの料理』数学と料理の思わぬ化学反応
もちろん料理そのものの画も色鮮やかで非常に素晴らしいのだが、岳の数学的思考からレシピを考えるさまも見ていて楽しい。またメイラード反応のような専門用語についてはテキストでの説明を添えてくれるのも見やすいポイントだろう。そして何より、料理を作る岳の表情が良い。
岳を演じている高橋文哉は、実際に芸能界に入る前は料理学校に通っており、調理師免許を持っているとのこと。料理をしているときの岳の瞳に宿る輝きは、料理の楽しさを心から感じたことのある高橋だからこそ出せるものなのかもしれない。また、岳の素朴な青年でありながらも芯の強い部分も、高橋は絶妙なバランスで演じていた。特にそれが感じられたのが、「東大に行きたかったのは、ずっと、父さんのためだったんだと思う」と東大受験を応援してくれていた父に想いを打ち明け、岳の優しいだけではない強さが見える場面だ。大切な人の期待に応えたい。でも、自分の夢も捨てたくはない。そんな葛藤が透けて見えるようで、思わず胸が苦しくなる場面でもあった。真っ直ぐに次の夢へと向かっていく岳を、この先、高橋がどう演じていくのかが気になるところ。
一方で、俺様な海を見事に好演したのは志尊淳。不敵な笑みを浮かべながら、強気な態度を崩さない海は、さながら“悪魔のような救世主”だ。しかし、その端に滲んでいる優しさを志尊は見事に演技で表現している。「お前は数学の世界では脇役、モブキャラだ」「お前の数学の才能は、料理のためにある。ここで終わる気か? 主人公」と岳をけしかける海だが、この言葉は彼なりのエールでもあるのだろう。
また、作中に流れるレストラン「K」の紹介動画では、志尊が流暢なフランス語で話すシーンも。淀みのないフランス語は、海が外国で培ってきた経験を裏付ける要素でもある。ヴィジュアル面はもちろんであるが、この海の内面への徹底した役の作り込み具合に拍手を送りたい。いよいよ最強のタッグが料理界に誕生した第1話。岳と海の行く末はもちろん、最終回までにどんなレシピが出てくるのかも楽しみである。料理の世界の“主人公”となった岳は、どんな数式でこのドラマを盛り上げてくれるのだろうか。
■放送・配信情報
金曜ドラマ『フェルマーの料理』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
U-NEXTにて、各話の初回放送直後配信
Netflixにて、10月21日(土)より配信開始
出演:高橋文哉、志尊淳、小芝風花、板垣李光人、白石聖、細田善彦、久保田紗友、及川光博、宮澤エマ、細田佳央太、宇梶剛士、高橋光臣、仲村トオル
原作:小林有吾『フェルマーの料理』(講談社『月刊少年マガジン』連載)
脚本:渡辺雄介、三浦希紗
プロデューサー:中西真央
演出:石井康晴、平野俊一、大内舞子
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fermat_tbs2023/
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