朝ドラ『ブギウギ』宇野祥平がもっとも頼もしい存在に? 誰よりも多い足立紳作品での経験

 朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)がはじまって、早くも2週目である。視聴者の期待感をさらに煽るように、次から次へとユニークなキャラクターたちが登場。まだ幼いヒロイン・花田鈴子(澤井梨丘)のまわりには強いインパクトを与える者がすでに何人も存在しており、これが視聴者と出演俳優の新たな出会いの場となるはず。宇野祥平もそんな一人なのではないだろうか。

 本作で宇野が演じているのは、鈴子の実家である銭湯「はな湯」の住み込みの従業員・ゴンベエだ。この名前は「名無しの権兵衛」からきているのだろうか。かつて川へ飛び込んだところを鈴子の父・梅吉(柳葉敏郎)に救われたものの、それまでの一切の記憶を失っているらしい。謎に満ちている男だが、梅吉たち花田家に深い恩を感じているのがその丁寧な言動から伝わってくる。なかなか重い設定を背負ったキャラクターではあるものの、宇野が演じると柔らかく軽やか。今後の動向がもっとも気になる人物の一人である。

 出演発表時のコメントで宇野は、「初めて大阪局制作の連続テレビ小説『ブギウギ』に参加できること、しかも脚本は足立紳さんだということがとてもうれしく、大変光栄に思います」と述べている。

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 そうなのだ。朝ドラへの出演は『エール』(NHK総合)に続いてまだ2度目だが、『ブギウギ』で脚本を担当する足立紳の作品には、『百円の恋』(2014年)、『14の夜』(2016年)、『嘘八百』(2018年)、『喜劇 愛妻物語』(2020年)などに参加してきた。

 本作のキャスト陣の中では宇野がもっとも、足立の手がける劇世界に触れてきたわけだ。こういった人物が登場するのは視聴者として頼もしいかぎりだし、実際にいまのところ宇野が誰よりも足立の作る世界観を体現しているように感じる。先に挙げた映画を観ている方ならば共感してもらえるのではないだろうか。足立作品には足立作品の、独特なトーンがあるのだ。

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