蒼井優にかかる大きな期待 初の朝ドラ『ブギウギ』で体現する“トップスター”ぶりに注目

 蒼井がクラシックバレエの経験者だということは広く知られているだろう。それは『花とアリス』(2004年)に丁寧に収められているし、彼女の踊りや身体パフォーマンスのレベルの高さに関しては、フラダンスに情熱を注ぐ人々の姿を描いた『フラガール』(2006年)はもちろんのこと、『オーバー・フェンス』(2016年)で自由に舞ってみせる姿からも確かめられる。アクションを本格的に披露しているわけではないが、『るろうに剣心』シリーズ(2012年〜2021年)もそうだろう。そもそも蒼井のデビュー作は、あのミュージカル『アニー』である。

 とはいえもちろん、身体の扱いに長けているだけでは“トップスター”を演じることなどできはしない。いや、それらしく演じることはできる。おそらく誰にだってできる。だがここにもまた、鈴子や私たちを納得させるだけの説得力というものがなければならない。ここで、俳優・蒼井優のキャリアが生きてくる。

 彼女は2001年公開の『リリイ・シュシュのすべて』でスクリーンデビューを果たして以降、『ニライカナイからの手紙』(2005年)に『ハチミツとクローバー』(2006年)に『百万円と苦虫女』(2008年)、近年の『宮本から君へ』(2019年)や『スパイの妻〈劇場版〉』(2020年)に至るまで、それぞれの年代ごとに自身の代表作というものを持っている。いずれも世の中的に広く話題となった映画たち。そう、蒼井優には俳優としての低迷期がない。彼女はずっとスターなのだ。

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 そんな蒼井だが、朝ドラへの出演はこれが初めて。意外である。てっきり10代の頃にヒロインを経験しているものだと思っていた。“トップスター”としてのキャリアの中でようやく、ヒロインに影響を与える存在として朝のお茶の間に登場することになったわけだ。これは偶然ではなく必然。大和礼子は蒼井優にしか演じられない大役である。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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