『あまちゃん』『エール』から『ブギウギ』へ 朝ドラに欠かせない“音楽の力”を振り返る

朝ドラに欠かせない“音楽の力”を振り返る

 高畑充希や上白石萌歌など、俳優業と音楽活動を並行するキャストが劇中歌を披露することも多い朝ドラ。『ごちそうさん』で、ヒロインが嫁いだ西門家の末っ子・希子を演じた高畑は脚本家・森下佳子たっての希望により「焼氷有りマスの唄」を歌うことに。 それはミュージカル女優としてキャリアをスタートさせた彼女の歌唱力を広めるきっかけとなった。上白石は『ちむどんどん』でヒロインの妹・歌子として沖縄民謡の「芭蕉布」や、父・賢三役の大森南朋と共に童謡「椰子の実」を歌唱している。猛特訓の末にマスターした三線を弾きながら、彼女の持ち味である透明感のある伸びやかな歌声を届けた。

 あまり知られてはいないが、デビュー当初は別の芸名でアイドル歌手としても活躍していた深津絵里が『カムカムエヴリバディ』で歌ったのは“サッチモ”こと、ルイ・アームストロングの「On the Sunny Side of the Street(明るい表通り)」だ。同曲は「ひなたの道を歩けば、きっと人生は輝く」というメッセージを届けるこの物語の象徴であり、朝ドラ史上初となる3人のヒロインをつなぐ重要な役割を持っている。それを2代目ヒロイン・るい役を演じた深津が歌うのは意外ではあるが、必然だったと言えるだろう。歌唱力はもちろんのこと、失恋した娘のひなた(川栄李奈)を慰める時と、母・安子(森山良子)と50年越しに再会した時とではまた聴こえ方が変わってくる芝居の延長線上にある歌声に胸を打たれた。

『カムカム』深津絵里の歌声はまるで祈り 若者たちが“ひなたの道”を歩むことを願って

<もしも君が不確かな明日に心震わせているのなら私だってそうよ friend>  これは、主題歌「アルデバラン」の2番に出てくる…

 どんな時代や状況下においても人々の心を心を癒し慰める音楽の力を信じて、こうした劇中歌を届けてきた朝ドラ。戦後から間もない1947年に発表された笠置シヅ子の代表作「東京ブギウギ」も底抜けに明るいメロディで日本を活気づけ、復興を象徴する流行歌となった。鈴子を演じる趣里はその少しハスキーな声質が印象的で、聴けばすぐに分かる個性を持っている。クラシックバレエを下地に鍛え上げてきた身体表現力とともに披露するパフォーマンスでお茶の間を元気にしてほしい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
NHK総合にて、10月2日(月)より放送
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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