『らんまん』には名台詞がいっぱい! 心に刻みたい神木隆之介、浜辺美波、志尊淳らの言葉

『らんまん』名台詞とともに振り返る

万太郎「思ちゃあせんと、かないませんき。思い描くことができたら、あとは実現するだけです。道が見えちゅうなら、歩いたらええ」(第49話)

 植物学という道なき道を進もうとする万太郎の姿勢がよく表れた言葉。思いついたら、あとはやるだけでいい。上手くいくか、いかないかは、きっと関係ないのだろう。

波多野泰久(前原滉)「万さん見てたら、人生って僕が思ってるよりずっと濃くて、たくさんのものが入る器なんだなって思えて。その器をパンパンにしていくことが、生きるってことなのかなって」(第53話)

 万太郎と打ち解ける波多野と藤丸次郎(前原瑞樹)のコンビは、ピリピリしている植物学教室の中でも癒しの存在だった。自分の生きる道に迷っていた彼らは、一心不乱に植物学の道を進む万太郎に大きな影響を受ける。このような直観的に物事を捉えられる波多野だからこそ、後に目に見えないものを解き明かすことができたのかもしれない。

クララ・ローレンス(アナンダ・ジェイコブス)「生きなさい、愛のために。心のままに」(第53話)

 高藤雅修(伊礼彼方)に強引に妾にされそうだった寿恵子。本当は万太郎のもとへと行きたい寿恵子の気持ちを後押ししたのは、ダンス教師・クララの言葉だった。寿恵子に去られてうろたえる高遠に対して「どうぞお好きなだけお仲間と踊ってらしたら?」とピシャリと言い放った高藤の妻・弥江(梅舟惟永)の言葉も小気味よかった。

寿恵子「あなたとなら、毎日、今日を生きるだけで、ひたすら大冒険なんです。私、あなたが好きなんです。だから私、性根を据えなきゃ。あなたと一緒に大冒険を始めるんだから」(第56話)

 万太郎の「わしと、生きてください」というプロポーズに対する寿恵子の答え。有力な実業家の妾になるのではなく、まったく生活能力のない植物学者と一緒になる。これが、寿恵子が自分で選んだ「大冒険」の始まりだった。

竹雄「あなたは呪いじゃない。祝いじゃ。酒蔵におるがが女神じゃいうやったら、あなたこそ峰屋の祝いの女神じゃき」(第62話)

 万太郎の従者から相棒へと変わり、万太郎ではなく綾を支えることを選んだ竹雄。まわりから蔑まれ、酒蔵にとって女である自分は「呪い」だと落ち込む綾に、竹雄は「呪い」ではなく「祝い」だと声をかける。綾にかかっていた「呪い」は、性別、因習、家など、さまざまだ。それは今の日本にもまだかなり残っている。

田邊彰久(要潤)「では、最後の提案だ。私のものになりなさい」(第67話)

(左)田邊彰久役・要潤、(右)槙野万太郎役・神木隆之介

 パワーワードとしてバズッた田邊教授の一言。万太郎を植物学教室へ迎え入れた田邊教授だが、次々と成果を挙げて周囲からの評価を高めていく万太郎に対して複雑な思いを抱いていた。先進的で、プライドが高く、古いものを切り捨てようとするが、物静かな妻には優しい。万太郎の能力を評価しているが、自分が尊重されていないと激怒して追放する田邊教授は、複数の面を持つとても人間らしい人物として描かれていたように思う。

徳永政市(田中哲司)「どうやってここに来たかは問わない。だが、そこから変わっていけるかどうかだ」(第71話)

 当初は学歴のない万太郎を排除しようとするなど、権威的な人物に見えた徳永だが、回を追うごとに、それだけではない面を見せていく。この言葉は渋々植物学を選んだ新入生を見た後に語ったもの。横にいた講師の大窪(今野浩喜)に深く響いていたように見えたし、徳永が自分自身に言い聞かせているようにも見える。

万太郎「弱さも、よう知ったら、強みになる」(第78話)

 競い合うことが常の学問の世界に疲れ果てた藤丸に万太郎がかけた言葉。「徹底的に誰もおらんところを探したらええ」と具体的なアドバイスも一緒に添えている。同席していた長屋の住人・ゆう(山谷花純)の「逃げるんじゃなくて、探しに行くんだね」という言葉も良かった。疲れ切ってしまったら、距離を置くことも大切。

万太郎「人間の欲望が大きゅうなりすぎて、ささいなもんらが踏みにじられていく、ほんじゃき わしは守りたい。植物学者として後の世まで守りたい」(第110話)

 家や男性としての役割から自由になって植物学を追求してきた万太郎だが、それでも大学や国家などの権力に絡め取られそうになる。日本の植民地となった台湾では、台湾の人たちが言葉を奪われる様や、戦争の跡も目の当たりにした。いつも犠牲になるのは、草木のような弱くて小さなもの。万太郎は植物学者として人間の欲望と競っていくことを誓う。「人間の欲望」という言葉は神木隆之介から提案があったものであり、その後の万太郎を描く指針となったことを脚本の長田育恵が明かしている(『あさイチ』(NHK総合)9月22日放送回)。

竹雄「峰屋の若旦那はダメ若じゃったけんど……。ほんでも、いつじゃち、強さと優しさが本気じゃった。そんな若じゃき、わしは愛したがじゃ」(第120話)

 「万竹コンビ」として視聴者に愛された万太郎と竹雄の関係性が凝縮された言葉。万太郎には、自分のやりたいことをやり抜く「強さ」と、誰に対しても別け隔てのない「優しさ」があり、何事にも「本気」だった。出世することもお金を稼ぐこともできず、自分の好きなことばかりやってきた「ダメ若」にかけられた、全肯定の言葉である。

万太郎「生きて根をはっちゅう限り、花はまた咲く」(第124話)

 関東大震災で大切な標本を失った万太郎が、虎鉄(濱田龍臣)とともにムラサキカタバミを見てこう呟く。ムラサキカタバミは生命力が強いことで知られている。万太郎もかつて愛する娘を病で失うなど、何度も大きな喪失を味わってきた。大切なものを失って打ちひしがれても、生きてさえいれば、また笑える日がやってくるのだろう。

寿恵子「好きです、あなたが。心から。あなたは変わらない。出会った頃から。世の中はみんな変わり続けてしまうけれど、本当ひどいことも起こるけれど、あなたの心はずっと明るいほうを向き続けてる。そんなあなたが、涙が出るほどに愛おしいんです」(第125話)

 年老いた寿恵子が、万太郎の肩に体を寄せて語った愛の言葉。「ずっと明るいほうを向き続けてる」なんて、まるで太陽の光によって成長する植物みたいだ。もちろん、太陽の光としていつも万太郎を照らし続けてきたのは寿恵子である。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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