『何曜日に生まれたの』天才作家・公文竜炎の誕生秘話が明らかに すいとの関係の行方は?

 そうやって人間は辛いことがあっても、自分なりの方法で気持ちにケリをつけて前に進んでいく。だけど、許容範囲を超えた辛い出来事に襲われたとき、人の心はいともたやすく壊れてしまう。アガサに似た美女ーー公文の妹と判明した蕾のように。父亡き後、母親の再婚を機に家を出た公文は蕾が不登校になったことを知らなかった。気づいた頃には時すでに遅く、久しぶりに訪れた実家は蕾が刺した母親とその再婚相手の血の海と化していた。初回の放送で公文が丈治(陣内孝則)に引きこもりの帰結として「産んだ親を一番憎み、ナイフを持つ」と語った言葉はそんな経験に基づくものであったのだろう。今思えば、言葉の端々にリアリティがあった。

 そして、その後も自傷行為を繰り返し、精神科に入院した蕾の辛い過去を催眠療法で消す代わりに公文が新たに与えたのがアガサとしての人生だ。蕾は公文のヒロインとして生まれ変わった。公文は自分を蕾とともに三次元の世界に閉じ込めたのである。だからこそ、すいの同級生に「君たちとは生きる次元が違う」という言葉を放ったのだろう。歪んでいるが、公文もまた瑞貴と同様、蕾のために自分の幸せを諦めたともいえる。三島公平としてはすいに惹かれているが、その気持ちに必死で蓋をしようとしているのかもしれない。

 そんなことを知るよしもないすいは公文と丈治にずっと盗聴されていたことを知り、一人焼肉へ。部屋に閉じこもることなく、外に出たのは悲しいことがあっても前に進もうとする強さの表れか。その結果として、すいは10年前の交通事故の際に助けを求めた車に乗っていたのが公文だったことに今さら気づく。公文あるいは公平、蕾、すいの奇妙な三角(四角)関係の行方はどうなるのか。物語はついにクライマックスへ突入する。

■放送情報
『何曜日に生まれたの』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
TVer、ABEMAにて、地上波放送終了後見逃し配信 
TELASA、U-NEXTにて、第1話~最新話まで見放題配信
出演:飯豊まりえ、溝端淳平、井上祐貴、YU、若月佑美、片山友希、濱正悟、早見あかり、シシド・カフカ、陣内孝則ほか 
脚本:野島伸司
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー:南雄大、松原浩、柴田裕基、難波利昭
制作プロデューサー:奈良井正巳
演出:大塚恭司、岩本仁志、松原浩
音楽:福廣秀一朗
主題歌:The Hollies「Bus Stop」
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/nanuma/
公式X(旧Twitter):@nan_uma_abc 
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